日本独自の規格である軽自動車。経済的で取り回しがしやすく、車種によってはボディサイズからは想像できないほどの広い室内など、多くのメリットがある。しかし、その根底にあるのはあくまでも実用性。いやいやちょっと待ってほしい、世の中にはホットな軽自動車だってあるのだ。
文/木内一行、写真/スズキ、ダイハツ、三菱、FavCars.com
【画像ギャラリー】実用性重視じゃないアツい軽自動車をもっと見る(14枚)画像ギャラリー■スズキ・アルトワークス 「マニアも驚愕のDOHCターボ+フルタイム4WD!」
数々のテクノロジーが生まれ、多くの最新技術が投入された1980年代に巻き起こったパワーウォーズ。スポーツカーや大型車だけでなく、軽自動車やRVまで最高出力を競い合ったわけだが、そんななかで生まれた驚きの軽自動車がアルトワークスだった。
それまでも、ミニカやミラにターボモデルやスポーツバージョンはあったが、ワークスは別格。アルトはすでにターボやツインカムを発売していたが、ワークスは軽自動車で初めてツインカムターボエンジンを搭載したのだ。
そのF5A型は、EPI(電子制御燃料噴射装置)や大型インタークーラーなどを採用して64psを発生。しかも、レッドゾーンが9500rpm回転からという超高回転ユニットなのだ。
そして、これがきっかけで軽自動車の64ps自主規制が設けられたことは有名なハナシ。
また、駆動方式もFFだけでなく、ビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDが設定されたこともトピックだった。
こうした他を圧倒するメカニズムだけでなく、内外装もそれに見合ったド派手なもの。
エクステリアは廉価版を除き、フォグランプ内蔵のエアロバンパーやサイドステップ、バックドアスポイラーなどを装着。ボンネット上には、インタークーラーに走行風を取り入れるエアスクープも設置された。
インテリアでも、左右非対称のバケットシートや小径4本スポークのステアリングなどを採用。市販車のレベルを超えた内外装で、クルマ好きをアッと言わせたのである。
■三菱・ミニカダンガン「市販車初の5バルブエンジンでライバルに対抗」
軽自動車最強という称号を手に入れたアルトワークスだったが、それを猛追したのが三菱のミニカ。1989年にモデルチェンジした6代目には、歴代最強モデルのダンガンがラインナップされた。
このダンガン、何がスゴいのかというとエンジン。軽自動車のみならず、市販車として初めてDOHC5バルブエンジンを搭載したのだ。
550cc直3の3G81型をベースに、排気3、吸気2という5バルブヘッドを組み合わせ、ターボをドッキング。
さらに、軽自動車初のローラロッカアームや軽3気筒エンジン唯一のバランサシャフトのほか、オートラッシュアジャスタやノックコントロール付き電子進角といったメカニズムを搭載。
最高出力は自主規制により64psだが、市販車初の5バルブDOHCターボというインパクトはとてつもないものだった。
駆動方式は当初はFFのみだったが、後にワークスに立ち向かうべく世界初のHCU(ハイドロリック・カップリング・ユニット)式フルタイム4WDも追加された。
ルックスも、大型エアロバンパーやルーフスポイラー、ボンネットエアスクープなどでスポーティさと機能性を両立。マフラーのフィニッシャーは斬新なトリプルテールパイプだ。
このダンガンがデビューした1989年といえば、セルシオやR32スカイラインGT-R、ユーノス・ロードスターなどが生まれた年。そんなビンテージイヤーには、こんなブッ飛んだ軽自動車も登場していたのだ。
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