【アイデアはよかったが消えていった】日本車 珍技術 珍装備の道程

■装備編

●シアターステーション

三菱/AV装備
採用車/3代目ミラージュ

 3代目ミラージュのザイビクスは、3ドアハッチバックだが、後席のない2シーター。車内中央から後部はフリースペースになる。そのメーカーオプションに、ルーフの後部をカプセル状に持ち上げるマルチトップがあった。

 この仕様をベースにディーラーオプションで用意されたのが、AVキットのシアターステーションだ。カプセル内部に6インチTVモニターやスピーカーが収まる。TVを下側に引き出して、前席背面に装着されたハンモックに寝そべりながら鑑賞できたのだ。

こちらが噂のシアターステーション

●電動ワイパー付きフェンダーミラー

日産/機能装備
採用車/初代レパードなど

 初代レパードには、フェンダーミラーに装着する電動ワイパーが採用されていた。小さなワイパーが鏡面の上を左右に動き、雨滴を除去するものだ。世界初の装備とされたが、ワイパーブレードが邪魔をして、むしろ見にくかった。

 それでもこの装備は廃れず、初代シーマのドアミラーにも装着された。スイッチを押すとワイパーブレードが上下に動き、初代レパードに比べるとミラーの視認性を向上させていた。進化したのだ。

実用性は高そうに見えるのだが、普及はせず、珍技術となってしまった

●サスペンションシート

三菱/機能装備
採用車/初代パジェロ

 初代パジェロにはサスペンションシートという装備が用意されていた。シートの下側にスプリングが装着され、シート自体に衝撃吸収機能を持たせたものだ。ドライバーの体重に応じてスプリングの硬さを調節できて、サスペンション機能が不要な時は、3段階の高さで固定できた。

 実際に使うと、カーブを曲がる時には、ボディに加えてシートの角度まで大きく傾く。そのために体がシートから滑り落ちそうな感覚があった。直線の悪路をゆっくり走る時に使う装備だったのだ。

●セーフティドライブアドバイザー

日産/運転支援装備
採用車/7代目ブルーバード

 7代目ブルーバードに採用された装備で、ドライバーのステアリング操作と運転時間から、疲労を判断する。必要に応じて、インパネ中央の下側に装着されたインジケーターで休憩を促すこともしてくれた。

 ステアリング操舵角センサーと専用のマイクロコンピューターが備わり、ドライバーの操舵パターンが予め記憶されている疲労時のパターンと一致すると、注意を促すという仕組みだった。

 この時点では一種のアイデア装備だったが、今のクルマにも進化した機能が安全装備として採用されている。

7代目ブルーバードにオプションで設定。運転開始約30分ごとに積算運転表示が点灯してゆき、2時間以降は1時間ごとに絵表示とブザーでドライバーに休憩と注意を促す
7代目ブルーバードにオプションで設定。運転開始約30分ごとに積算運転表示が点灯してゆき、2時間以降は1時間ごとに絵表示とブザーでドライバーに休憩と注意を促す

●サイドウィンドウワイパー

トヨタ/機能装備
採用車/6代目マークII

 1988年デビューの6代目マークIIの装備。初代シーマはドアミラーにワイパーを装着したが、マーIIはサイドウィンドウの雨滴を除去して、クリアな視界を得ようと考えたのだ。雨滴を除去すべきはサイドウィンドウか、それともドアミラーか、非常に悩ましい選択だ。

 両方装着する方法もあるが、1989年に発売された初代セルシオは、世界初の超音波を使ったドアミラー雨滴除去装置を採用した。これにサイドウィンドウワイパーを組み合わせると完璧だろう!?

スイッチを押すと下から上へワイパーが動き、雨滴を効果的に除去する

●アンブレラポケット

日産/機能装備
採用車/3代目パルサー

 3代目パルサーの3ドアハッチバックが採用したのはアンブレラポケット。ドア開口部のボディ側(ストライカー金具が付いている上側あたり)に、穴が設けられており、そこに専用の傘を収納できた。

 小さな蓋を開き、なかに入っている傘のグリップを押すと、手前に出てくる。内側には水抜き穴もあり、水が溜まらない配慮もされていた。

 報道発表会で、開発責任者の千野甫主管が「仕込傘です」とユーモアを交えて説明していたのを覚えている。

現在はロールスロイスも採用するナイス装備だが、3代目パルサーで幕を閉じた

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