【アイデアはよかったが消えていった】日本車 珍技術 珍装備の道程

●スポーツマチック

日産/トランスミッション
採用車/2代目チェリーなど

 1976年からチェリーなどに搭載されたもので、前進3段、後退1段のトルコン式セミAT。

 名前とは裏腹に、まったくスポーティではない簡易式オートマチックだった。トルコンはついているからクラッチペダルはないけれど、3段の変速はドライバーがレバーをガチャガチャ操作して自分で行う必要がありました。

 似たようなのにホンダマチックがあり、こちらはヒットしたけれど、日産のスポーツマチックはより単細胞だったためか、フルオートマへのバトンタッチを余儀なくされ、消滅したのでありました。

●エクストロイドCVT

日産/トランスミッション
採用車/V35型スカイライン
 トロイダル式変速機は、19世紀から「夢の変速機」として開発が始まったが、実用化したのは120年後の日産(1999年)が最初! というからスゲエ。中身を説明すると長くなるので割愛するが、乗った感じは、スムーズでダイレクトでした。

 ただ、メチャメチャコストが高い! 普通のトルコンATの50万円高! 一方、性能向上はそれほどでもなく、熟成不足ゆえに故障も多かった。結局、誕生からわずか6年後、早くも消滅してしまいました。涙が出ますね。

日産 スカイライン(V35型)
ギアが8段に分けられ、変速はパドルシフトでも可能とされた。製造はジヤトコが担当していた
ギアが8段に分けられ、変速はパドルシフトでも可能とされた。製造はジヤトコが担当していた

●スーパーシフト

三菱/トランスミッション
採用車/初代ミラージュなど

 単純明快な副変速機で、4速MTが8速MTに! スゲエ!? 通常のシフトレバーの右側に、もう1本シフトレバーがあり、そっちを手動操作すると「パワー」と「エコノミー」の切り替えが可能だった。

 クラッチペダルを踏めば走行中にも切り替えられたので、2本のレバーを縦横無尽に駆使すれば8速MTになるわけです。

 実際には、8速をチェンジしまくる人はまずいなかったが、なんとなく夢があり、ミラージュ、コルディアと、約10年間生産されました。

初代ミラージュのインパネシフト

●直5縦置きFF

ホンダ/エンジン
採用車/初代インスパイアなど

 ホンダは走り命のメーカー。ただしFFしか作っていなかった。そこで打ち出したのが5気筒エンジンをフロントミッドに置いて、前輪を駆動するというもの

 前輪車軸はエンジン下のオイルパンを貫通していてコレでミドシップ? という気がしないでもないが、エンジンの重心点は車軸より若干後ろ寄りにあった。

 5気筒エンジンは素晴らしいフィーリングで、ドライの舗装路の走りは感動的だったが、トラクションのかかりが弱く、雪道は苦手だった。

写真の2.5L、直5SOHCのG25A型エンジンは190ps/19.0kgmの出力を発生していた

●プレッシャーウェーブスーパーチャージャー

マツダ/エンジン
採用車/5代目カペラ

 排気側に発生する圧力を、レンコン状の開閉機構によって吸気側に伝え、スーパーチャージャーのような働きをさせるという、非常にシブい技術だった。当時、多くのクルマ好きは、ディーゼル乗用車なんつートロいもんには見向きもしなかったが、これを積んだカペラのトルクには、私も大変感心しました。

 スロットルラグがないなどのメリットもあったが、メンテナンスを怠るとトラブルになるという弱点があり、結局ターボに取って代わられてしまいました。南無〜。

通常のスーパーチャージャーより出力損失が少ないなどの長所もあったが、ススなどがたまりやすかった
通常のスーパーチャージャーより出力損失が少ないなどの長所もあったが、ススなどがたまりやすかった

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