【入選】「初心者がジムカーナ練習会に参加した話 」金也奏著
【選評】3部作(3作品)描いていただきました。草の根モータースポーツの最大の魅力を丁寧に描いていただき、『JAF MATE』(日本最大部数の自動車専門誌)に推薦したいくらいの内容でした。内容ももちろん共感できるんですが、キャラクターが生き生きしているのがすばらしかったです。特に最終カットの表情が最高。だんだん運転がうまくなってゆくのって、めちゃくちゃ楽しいですよね。走っている時のタイヤの位置や状態がわかるようになってくると、『HUNTERXHUNTER』に出てくる「円」の使い手みたいな気分になれてお薦めです。残念ながらわたしたちに「念」は使えませんが、クルマを使えば自分の力を拡張して、速く走ったり遠くに行くことはできる。そしてその能力は訓練で向上する。そういうことが改めて実感できました。それからこれは読者向けに。モータースポーツを経験すると「速く走りたい」という欲求が強くなるんですが、それ以上に「そのためには丁寧に走らなくてはならない」という習慣が体に叩き込まれるので、安全運転になります。お薦め。
【入選】「New days, New ways」コジママユコ著
【選評】初心者によるクルマとの新鮮な出会いを、「道」の発見という視点から描いてくださいました。初めて自分一人でクルマを運転する時に気づくには、「あ、手に入れたのは【運転する権利】というより、【自由】なんだ」ということなんですよね。そして「自由」はもちろん人によって見え方が違っていて、だからこそいろんな作品でいろんな表現の仕方がされるのだとも思います。この作品では冒頭で主人公が人生の節目に立っていることが示されており、そうした不安や悩みと「自由」との関係がきれいに繋がって描かれていて、そこが特によかったです。最後の3コマ、「わくわくしている自分」を発見して笑っているところ、「キャラとしての自分」の取り扱いがとても上手いなと思いました。
【入選】「カプチーノノスタルジア」みずけん著
【選評】前後編2作品投稿してくださいました。集まった作品のなかで唯一「車種名」が登場する作品です。それも「スカイライン(オーテックver.)」と「カプチーノ」という、非常に当サイトの読者層にストライクなセレクトで、大変ありがたいかぎり。読者の皆さんも一言二言ありそうな車種に加えて、こういう「あの頃、心に刺さっていたクルマ」、クルマ好きなら誰でもありますよね。カプチーノはオープンカーなので、運転している人の表情がよく見える、というところを作品の構成に盛り込んだところもよかったです。思い出に残るクルマの多くは「それに誰が乗っていたか」がセットで宝物になる、ということも表現してくださいました。
【入選】「図形家族 」小山コータロー著
【選評】「奇作」、「怪作」という言葉が頭を占める作品でした。なにしろお題が発表されて最初に投稿されたのがこの作品だったことで、この企画の成功を確信しました。ありがとうございます。ちょっと前の『週刊モーニング』の巻末にありそうな作品でした。「ぜいたく言うな、転がれ」というセリフが何回読んでも笑えます。確かに四角形は転がれない。転がれない四角形と三角形の間に生まれた(?)球形の悲哀を受け止めるために父(??)が出した答えは「動かなくなったクルマの姿」への擬態だった! 「動く」とは何か、「転がる」とは何かを、哲学的に問うている気がします。気のせいかもしれませんが。
【入選】「ドライブ with…」まゆしー著
【選評】大型犬とクルマへの相性って最高だと思うし、それは「幸せの匂い」しかしないはずなんですが、そうなんです、犬、けっこうクルマに酔うんですよね……。しかも彼ら(犬)、わりとガチで「こ、こんなはずでは…申し訳ないご主人…」と、しおらしい顔をするんです。違うんだ、悪いのはきみではない、すまない、という気分になるところまで、しっかり絵で表現されておりました。あとクルマに慣れてくれると、思い切り走らせることができて、飼い主側も嬉しいんですよねー。そういう「実情とハッピーのバランス」がとてもよい具合に出ていた作品でした。
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以上、このほかにもたくさんのご応募をいただき、編集部一同大感謝しております! 「クルマ」という、かなりざっくりしたお題でハラハラしていたのですが、皆さんの心のなかの「宝物」が集まったと思っております。コルクbooksさん、ありがとうございました! 腕に覚えのある皆さんは、ぜひ次回のコラボ企画をお待ちください!!
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