■松田秀士の目がとらえたこと
・ドライバーの操舵に対してサスペンションの動きはとてもしなやかに見える
・フロアに敷き詰められているであろう、リチウムイオン電池が低重心をもたらし、コーナリングが安定している
・今回はエンジン走行のみだったが、そのエンジン音はかなりの迫力
・シフトダウン/シフトアップのスムーズさからDCTの完成度も高そうだ
・想像よりもアグレッシブなスタイリングはフロントのインホイールモーターのおかげ
■ミッドオハイオからの生レポート(ケニー中嶋)
2015年発売予定の次期NSXの初期プロトタイプが初の公開走行を行なったのは8月4日に行なわれたインディカー・シリーズ第14戦の決勝レース直前に行なわれたデモランで、選手紹介が始まった頃、ピットへのアクセスロードに止められた1台の白い無印トレーラーのリアゲートが開き、エンジンがかけられた状態のNSXが姿を現わした。
そのままコースインしたNSXは、選手を載せてパレードラップへと向かうS2000の隊列の脇を抜け1周2.4マイル(3.86km)のコースを2周、晴れやかに公衆の面前を駆け抜けた。
フロントのライトブルーから、リアのアキュラブルーと呼ばれる紺色へと、グラデーションが流れるようなボディカラーと「NSX」のロゴをカムフラージュ風に散りばめたグラフィックが配されている。
スタイリングもひと目で、これまで見てきたコンセプトカーとは明らかに異なることが見てとれる。現実的な居住性を確保するためか若干フロントガラスが立ち、ガラスエリアもわずかに広くなっているように見える。
コンセプトモデルではLEDだったヘッドライトもHIDタイプに、バックミラーもより大型な量産タイプに変更されており、ホイールもHREパフォーマンス社製をはいている。
当初ハイブリッド車であることをアピールするため、モーターでの走行も検討されたとのことだが、今回のデモランでは一貫してエンジン走行のみ。
モーター音を感じることができなかったのは少し残念ではあったが、市販モデルよりもややラウドなエキゾーストノートを響かせ、シフトアップ&ダウンを繰り返しながら次々とコーナーを抜けて行くNSXにコースサイドのレースファンから大歓声が湧き上がった。
直噴VTEC、V6ガソリンエンジンにモーター内蔵のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせて後輪を駆動すること、フロント左右を別々のモーターで駆動する「SPORT HYBRID SH(スーパーハンドリング)-AWD」を採用することなどが、2015年に発売される市販モデルのスペックとしてアナウンスされているが、今回のプロトタイプの詳細に関してはいっさい明かされていない。
NSXはレース車両を想定して市販されるとはいえ、直後に鈴鹿で披露された2014年仕様のGT専用レーシングマシンとはまったくの別物だ。
【画像ギャラリー】加速はまさにV8・5L超級だ! 歴史的瞬間……!! ついについに、NSXプロトタイプが疾った!(12枚)画像ギャラリー■NSXの生産工場予定地に出かけてみた(ケニー中嶋)
今回の初走行の舞台として世界のどこでもなくミッドオハイオが選ばれたのには大きな意味がある。
新型NSXの開発はホンダR&Dアメリカ、生産が行なわれるPMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)ともに北米ホンダの拠点だからだ。
オハイオ州内3番目で現在新設中のNSX専用工場となるPMCでは既存のホンダ工場から特に優れたアソシエート(北米ホンダではすべての社員をそう呼ぶ)を約100名選抜してハンドメイドに近いNSX専用の製造ラインに採用するとのことだ。
V6エンジンではホンダ最大の生産台数を誇る工場であるAEP(アンナ・エンジン工場)にNSX用のV6エンジンラインを新設。旧NSXと同じく「一人1台」の組立が行なわれ、DCTや日本から輸入されたモーターと組み合わされた後にPMCへ搬入されるという。
脳裏をよぎる『オール北米ホンダで生産される新型NSXってどうなんだろう?』という疑問は現場にいた北米ホンダ関係者のコメントで払拭された。
「日本で作られた初代NSXが生まれたのはホンダが4輪を作り始めて27年目、オハイオでアコードの生産開始から30年以上経っており、ホンダイズムのなかで育ったアソシエートが作るのだから新型NSXはまったく問題ない」。なるほど合点がいった。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
【画像ギャラリー】加速はまさにV8・5L超級だ! 歴史的瞬間……!! ついについに、NSXプロトタイプが疾った!(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方この記事当時は、国内全く売れず10年後とっくに途絶えてるとは想像すらしてなかった
BEVとして再復活したとき、それは2代目とも別物、初代と通じるのは名前だけになるのだろう