2/走りはどうだったのか?(ボディ、シャーシ、エンジン、サスペンション)
エンジンは排気量1L、直3ターボ(1KR-VET)のみ。エンジンスペックは、最高出力98ps、最大トルク14.3kgm。
これにスプリットギアを用いて変速比をワイドにしたD-CVTを組み合わせ、燃費と静粛性を向上させている。
アクセル開度はやや早開きに設定されており、「1.5Lエンジン相当の動力性能を与えた」とのダイハツの説明の通り、3人乗りの坂道登りでも、苦労することなくグイグイと登っていくだけのパワフルさがある。
サスペンションは、フロントマクファーソンストラット式、リアトーションビーム式と、オーソドックスな組み合わせだ。
ロッキーのエンジニアから、ベースのサスペンションジオメトリーは「タント」だと聞いて驚いたが、ロッキーでは「5ナンバー幅」を生かし、フロントロールセンター高の低下、フロントスタビライザー太径化とビーム大断面化によるロール剛性アップ、アンチダイブ角の変更、リアの横力オーバーステア低減のための斜めブッシュ採用、リアビーム配置変更、リアショックの角度適正化、といった、可能な限り基本性能を磨き、操縦安定性を高めたとのこと。
※サスペンションジオメトリー/サスペンションを構成するアームやリンクの長さ、取り付け位置、角度など、幾何学的な形状や位置関係。これによりサスペンションの動きが決まる
ハンドリングに関しては、軽めのステアリング特性と、軽さを感じる身のこなしによって、オンロード性能が高く、直進性が良く安心できる。路面入力をいなすよう、スプリング剛性も低めに設定しているようだ。
そのため、うねりのある路面を走ると「フワッ」とするボディの上下動と、ピッチングの大きさがやや気になった。
おそらく、軽量ボディと大径で重たいタイヤホイールがアンパランスなためにバネ下がバタつき、それを抑えるためのスプリングやショック特性に苦労をしたのではないだろうか。
ロール方向の揺れも大きめだが、積極的にハンドルを切るクルマではないため嫌みには感じない。
なお、一般道でのロードノイズは静かな部類だが、高速道路試乗にて見極めたいところだ。
3/試乗してわかった このクルマのココが凄い ココがダメ
良い点(1)ボディサイズのわりに、小回り性能が高い
カタログの最小回転半径が5.0m(16インチ車は4.9m)と、小回り性能が素晴らしく、狭い駐車場内での切り返しや、片側1車線の道でのUターンなどが、容易にできる。
ライバルとなるスズキクロスビーやイグニスは最小回転半径4.7mと更に小さな数字だが、タイヤ外径が616mm程度と小さい。ロッキーの195/60R17のタイヤ外径666mmで5.0mを達成したダイハツ設計チームの仕事ぶりが窺える。
良い点(2)リアラゲッジルームの使い勝手の良さ
大容量ラゲッジも魅力だ。最大荷室長755㎜、6:4分割式の後席を倒せば、1500mm近い奥行きが得られる。
2段可変式のデッキボードの活用で、荷室の高さや容量を変更でき、アウトドアやキャンプなど、さまざまな用途に使える。ただしスペアタイヤではなく、パンク修理剤キットとなる点は、覚悟が必要だ。
良い点(3)右足用フットレストもポイント高い
細かなところだが、現代のクルマにおいて、ACC(オートクルーズコントロール)やLKAS(車線維持支援システム)は、もはや必須の装備。
ロッキーにはアクセルペダルの右側にフットレストがあり、ACCやLKAS作動時に、右足が疲れないよう、しっかりと実用的な大きさで設置されているのは、ドライバーの疲労軽減を考慮した、良い設計といえるだろう。
ちなみに、ゴルフ7などのVW車には立派な右足フットレストが付いているが、国産車ではほとんど見られない。
気になる点(1)ディスプレイオーディオがメーカーオプション扱い
193万6000円のカローラ(G-Xグレード)にすら標準装備されるディスプレイオーディオ。ロッキーにはメーカーオプション(9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ:14万8500円)での設定となっている。
販売台数の多いカローラシリーズとは事情が異なるのは仕方ないことではあるが、スマホ連携による利便性はもっと広げるべきだと筆者は考える。
「トヨタ/ダイハツ車は全車ディスプレイオーディオ標準装備」というキャッチーなインパクトを与えられたかもしれない。
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