日本でも2013年10月に発表・発売された、アウディ3代目RS6。アウディのトップシリーズ「RS」を冠するこのモデルに、富士スピードウェイで試乗した!(ベストカー」2013年12月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:鈴木直也/写真:平野 学
■極上のアウディ「RS」ラインアップ一挙拡大!
アウディスポーツモデルの頂点に立つ“RSシリーズ”が熱い。
ちょっと前まで、RSといえば“特別の一台”という位置づけだったが、RS6アヴァント、RS7スポーツバック、RS5カブリオレと3モデルをイッキに追加。RS5クーペ、RS4アヴァント、TTRSとともに充実のラインアップを形成している。
メルセデスのAMGやBMWのMシリーズに対抗するアウディのプレミアムスポーツ戦略が明確になってきた。
今回はそのなかでRS6アヴァントに試乗したのだが、そこにはやっぱりアウディらしい個性が光っていた。
RS6アヴァントのパワートレーンは4L、V8ツインターボ。
560ps/71.3kgmという強烈なパワーを絞り出す。この数字を見ると、狭い富士の北コースで振り回すのは難儀やろなーと想像するだろうが、実際に乗ってみると心配は無用。
強烈に速いことは速いのだが、予想以上にドライバビリティは洗練されているし、ESCを完全オフにしないかぎり操縦性もコントローラブル。
要するに、ちゃんとブレーキングポイントさえ間違えなければ、飛び出すようなリスクを感じないでガンガン攻められるのだ。
この洗練された操縦性のカギは、ひとえにアウディご自慢のクワトロシステムにある。
最新のクワトロはクラウンギアセンターデフが特徴だが、このエンジンの場合71.3kgmという強烈なトルクもあって、コンベンショナルなトルセンC。
トルク配分比は基本が前40/後60で、かけるトルクや路面μに応じて70:30~15:85まで広い範囲で可変する。
このクワトロシステムがほんとうにスゴイ。どんな野獣のようなエンジンでも、コイツと組み合わせると、とたんに洗練されてコントローラブルになる。
もちろん、RS6アヴァントだって、ESCオフで本気でアタックしたら普通のドライバーの手に余るモンスターなのだが、限界近くまでそういうワイルドな素振りを少しも見せず、洗練されたマナーが損なわれない。
それは、AMGともBMWのMシリーズとも違うキャラクターで、まさに“Vor sprung durch Technik”というキャッチフレーズどおり、テクノロジーがパワーを克服しているイメージなのである。
パフォーマンス以外でもアウディのテクノロジーへのこだわりは徹底していて、アルミ材を多用してマイナス100kgを実現した軽量ボディや、気筒休止によってJC08燃費10.4km/Lを達成するなど、メカニズムフェチなのではないかと思えるほど機械としての完成度が高い。
あえて注文をつけるとすれば、ハードウェアの完成度が高く走りが洗練されているがゆえに、たとえばBMWが持っているようなスリリングでエモーショナルな官能性能に欠けるところなのだが、だからといってアウディがコーナーでお尻を振り出しちゃうようじゃ本末転倒。
やっぱりこのへんはもう好き嫌いの領域というべきなんだろう。
超高性能だが、それを感じさせないほど洗練されていて、しかも機械としての完成度は抜群。個人的にはとても1500万円は出せないけど、それだけの価値があるクルマだと思います。
コメント
コメントの使い方>全長×全幅×全高:2980×1935×1480mm
全長2980mmは、いくらなんでもコンパクトすぎないか?