【ホンダよ頼む!! 奮起してください!!】新型フィット 魅力と実力と課題

 沈滞ムードを吹っ飛ばせ!! 今年最大の注目新車、ホンダ 新型フィット爽快試乗!! 乗ってわかった新たなキャラと「もうひと踏ん張り」の課題とは?

 2020年2月14日に通算4代目としてデビューしたホンダの旗艦、新型フィット。発売約1か月後となる3月16日時点で3万1000台を越えるなど順調なスタートを切ったが、果たしてその実力や如何に!?

 一見しても「シャープで硬質な」路線から「親しみやすい柔らかな」印象へと変貌を遂げた新型フィットは、そのイメージどおり乗り心地や“走り味”もイメチェンできているのか!? 自動車評論家の鈴木直也氏がステアリングを握って確かめた。

文:鈴木直也
写真:ベストカー編集部
ベストカー 2020年4月10日号

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これまでのフィットとは路線が違う!? 新型のキャラクターとは

通算4代目となる新型フィット。最廉価の「BASIC」から「HOME」、「NESS」、「LUXE」の4グレードを基本にクロスオーバーの「CROSSTAR」も初設定。それぞれ1.3Lガソリン車とe:HEVの2本立て

 ようやくというべきか、新型フィットが2020年2月14日に正式発売のはこびとなった。

 筆者が初めて新型フィットに試乗したのは、今を去ること約4カ月前。北海道にあるホンダ鷹栖テストコースで行われた事前試乗会でのこと。その時、開発責任者の田中健樹さんの語ったプレゼンがとても印象的だった。

「新型フィットのキーワードは『心地よさ』です。走りや居住性だけではなく、すべてにおいて乗る人に心地よいと感じてもらえるクルマを目指しました」という。

 つまり、今度のフィットはハードウェアの改善のみならず、それをどうやってユーザーの幸せにつなげるかという、より高い次元のテーマに挑んだ、というのだ。

 ちょっと愛くるしい感じの新型フィットのスタイリングを見て「これまでのフィットとは路線が違うな」と思っていた筆者は、その説明を聞いて何かがストンと腑に落ちた。

 そうか、今度のフィットはいわゆる自動車評論家目線でアレコレ細かいことをいうより、虚心坦懐に「心地よさ」を味わおう。そんなクルマじゃないかと思ったのだ。

もう一歩でフランス車!? 印象的座り心地と広さ

全体的に硬質なタッチではなく柔らかい印象の新型フィット。それを象徴するのがシートの出来

 まずは大本命グレード、e:HEV(ハイブリッド)の「HOME」に乗ってみる。

 新型ハイブリッドパワートレーンを搭載しながら、エントリー価格は206万8000円。ライバルと目されるヤリスハイブリッド「G」より6万2000円安いため、お買い得と言ってもいいと思う。

 まず印象的なのは、前方視界が開放感に溢れていることと、室内が明るく広々としていることだ。

 最前方のピラーを極細としたことで得られた視界のよさは大きなメリットだし、インパネの高さを抑えたフラットなインテリア造形も開放感たっぷり。実寸以上に広い印象を与えてくれる。

後席シートは「BセグでNo.1」と直也氏も太鼓判。ここがヤリスとの大きな違いといえよう

 さらに、今度のフィットで大いにこだわったというシートがいい。サイズもたっぷりしているし面バネを採用した座り心地も良好。

 クッションのスポンジがもっとソフトだったら「まるでフランス車」といいたいところだが、いずれにせよ前席シートは歴代最高といって間違いない。

 また、後席の座り心地も前席に劣らず快適だ。フィット伝統のダイブダウン式フォールディング機構を備えながら、シート形状やクッションの厚みで妥協しなかったのはお見事。

 後席居住性についてはBセグハッチバックで最高の評価を与えられる。狙いの「心地よさ」について、まずとっつきの印象はきわめて良好といっていい。

新型フィット 刷新されたHVの実力は?

写真は新型フィット「NESS」。ハイブリッドは新型からインサイトなどと同様の2モーターで、その力強さもさることながら燃費もWLTCモードで29.4km/Lをマーク

 「e:HEV」は、基本シリーズハイブリッドだから、ゆるやかにアクセルを踏み込めば、モーター駆動で滑らかに走り出す。

 加速レスポンスはアクセルの踏み加減にリニアに対応していて、加減速を繰り返す市街地のクルマの流れにストレスなく乗ってゆける。このあたりのマナーのよさは、明らかに前モデルの「i-DCD」よりうわ手といっていい。

 市街地レベルではEV走行の割合も多く、30km/h以下でストップ&ゴーといったシチュエーションでは、滅多にエンジンは始動しない印象。

 もうひとつ、このe:HEVの好ましい点は、どんどんアクセルを踏み込んでいってもエンジンだけ吹き上がったりしないこと。

 ある程度以上のアクセル開度になると、エンジン回転数と加速感がシンクロするように制御され、あたかも有段ATを自動シフトしているようなリズム感のある加速が体感できる。

 パフォーマンスについても、駆動用モーターの25.8kgmというトルクは、同じホンダでいうと1.5Lターボを軽く上回る数字。高速道路の合流など、加速を必要とするシーンでは余裕のポテンシャルを味わうことができた。

 ドライバビリティについては、やはり「心地よい」という表現がピッタリかもしれない。狙って作り込んだとすれば大したものだし、これまでのホンダ車とはひと味違う走りのキャラクターに仕上がっているように思う。

課題はガソリンモデルの乗り心地!?

これまでのホンダ車とはひと味違う乗り味を実現した新型フィット。唯一の課題は特にガソリン車の乗り心地と直也氏は指摘

 いっぽう、今回の公道試乗で期待値に届かなかったのは、操安/乗り心地などのシャシー性能だ。

 2019年秋に鷹栖テストコースで試乗した際には、しなやかな足に感銘を受けた記憶がある。とりわけ、ワインディングでは長めのリバウンドストロークでボディ上屋を上手にコントロールしている快感があって「心地よい足とはこれか!」と大いに感心したのだ。

 しかしながら、あらためて一般公道で走らせてみると以前ほどの好印象はなく「このセグメントの平均よりちょっといいかな?」というレベル。

 まぁ、一般公道はホイールストロークの小さい領域での挙動が勝負だから状況は異なるのだけれど、「もうちょっと頑張ると思ったんだけどなぁ」という物足りなさが残った。

 これは、車両重量が100kgほど軽い1.3Lガソリンモデルに乗るとより顕著で、細かく荒れた路面を通過するときのバタバタ感などが、e:HEVより増幅されて伝わってくる。

 e:HEVでは感じられる“走りの質感”が、ガクッと落ちる印象があるのは残念。ホンダ車は鷹栖テストコースでセッティングしているためか、一般公道に持ち出すと鷹栖の評価を超えられないケースが多いが、今回のフィットもその例外ではなかったといわざるを得ない。

 総括するならば、デザイン、インテリア、使い勝手については「心地よさ」というテーマは狙いどおりピッタリ。ドライバビリティについても新しいe:HEVが大健闘、1.3Lガソリンも合格点。

 あとは、シャシーがもうひと頑張りすれば、日本のコンパクトカーに新しい価値観を打ち立てる傑作になると思います。さらにいっそうの奮起を期待したいところです。

※スペックはFFモデルのもの
新型フィット 価格表

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