■清楚な美少女が突如、ゴリマッチョ系に?
一番イカンと思ったのは、ロードスターだ。ロードスターは昨年暮れに一部改良を受けたが、その最新のロードスター(Sレザーパッケージ)に乗ってビックリ。
「いつからこんなに足が突っ張るようになったの~?」
もちろん昨年暮れの改良からでしょう。
現行ロードスターが登場したのは2015年。その時、ベーシックな「S」の走りと言えば、すさまじいほどフワフワとよく動く足を持ち、低い速度でも楽しめる、時代を超越したオープンスポーツだった。
しかもデザインがウルトラスーパー大傑作! まさに奇跡の一台! ロードスターが奇跡の一台であることは、今も変わってない。なにせ基本はそのまんまなので。
しかし、この足の突っ張りは何?
ゴンゴンゴンゴンと不快な突き上げが襲い、コーナーではあの美しくもたおやかなロールがぎこちなくなり、そのぶんヤケにゲインばっかりシャープになって、限界の低さはあんまり変わらないから簡単にリアが滑って、車両安定化装置が介入しまくる。
このクルマ、ちょっとバランスがおかしかないか? しかもよかったものが、かえって悪くなったような。
いや、足が硬くなったロードスターが好きな方もいらっしゃるでしょうが、私はダメだ。ああ、日本の宝・ロードスターがぁぁぁ!
■基本はいいマツダ3だが足のセッティングが微妙
続いてマツダ3。ロードスターから乗り替えると、足の動きはしなやか。それを支えるボディもずっと剛性が高いので、基本的にはいいクルマだ。しかし、かつてのプレマシーのような感動はない……。
この世界最高レベルのデザインをまとった最新かつ渾身のマツダ世界戦略車に乗り、「2代目プレマシーに遠く及ばないなぁ」とボヤかれるというのは、けっこうマズイのではないか!? なにがどうしてこうなった?
2代目、3代目プレマシーに代表される走りのよさは、前述のように接地性のよさが核だった。それはすなわち、VWゴルフに代表されるようなヨーロピアン・ベーシックの走り。マツダの場合はそれよりちょい格下の、オペルとかヨーロッパフォードあたりの感じね。
ヨーロッパでふつうにレンタカー借りて、コルサとかフォーカスでアウトバーン走ると、走りのよさ(≒接地性のよさ)に心底感動するのです。その感動がマツダ車にもあった。
しかし、走り・デザイン・パワーユニットの三拍子を揃えたマツダは、次なるステージを目指した。それはヨーロピアン・プレミアム! 具体的にはアウディあたりでしょうか? んで、足をスポーティに硬め始めたのではないか。すべて推測ですが。
確かに2年くらい前までのアウディは、速度域の低い日本で乗ると足が硬すぎてキツかった。その感じはマツダ3にもある! でも似てるのは硬さだけ! そのほかの部分は追いついてないので、足だけ硬めてポンポン跳ねて接地性が悪化し、結果的にヨーロピアン・ベーシックなよさも失っている。
これは、リアトーションビームサスという形式が悪いわけじゃなく、セッティングの方向性が間違っているのだと思う。サス形式なんてなんであろうと、走りのいいクルマは作れる。私が乗ってたシトロエン・エグザンティアなんてトレーリングアームだよ! コーナリング中にジョイント超えると横に吹っ飛んだけど、あんなに普段走りの気持ちいいクルマはなかった。
SKYACTIV-Xエンジンも、あぶはち取らずと言いましょうか。パワーと燃費の両立が目的だったのはわかるし、それは相当程度実現してるけれど、コストを無視してる。ユーザーメリットよりも、ガソリン圧縮着火そのものが目的になっちゃったのか。
それでも、相変わらず凄いのはデザインだ。マツダ3のデザインは本当に素晴らしい。このシンプルに磨きこまれた曲面の美しさ! デザインがよすぎるがゆえに、足回りがそれに引っ張られて背伸びした気さえする。
いずれにせよ、マツダ33には高いポテンシャルがある。足のセッティングの方向性を以前に戻せば、それだけでとってもいいクルマになるはず! でも断固拒絶するでしょうね、今のマツダは。頑固一徹なので。でもでも、マツダ3は、世界最高レベルに美しいCセグハッチバックだし、全体としては「その意気やよし!」である。今後の伸びに期待しようじゃないか!
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