マツダ3改良モデルを公道で試す! 走りの洗練度が大幅アップ!!!

この改良は正解だ! 走りの洗練度大幅アップ!!! マツダ3改良モデルを公道で試す

 世界初、圧縮着火を実現したガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を搭載したマツダ3が登場したのが2019年12月。

 それから1年と経たない2020年11月、「SKYACTIV-X」は異例の早期アップデートが図られた。

 その真価はいかほどなのか、昨年10月の事前試乗に続き、自動車評論家 鈴木直也氏が公道の初試乗でその「答え合わせ」に望んだ。

【2020年10月事前試乗の様子はこちら】マツダ3 改良予定車を事前試乗!! 夢のエンジンは進化の途中!??

※本稿は2021年1月のものです。試乗日:2021年1月25日
文/鈴木直也 写真/ベストカー編集部 撮影/平野 学
初出:『ベストカー』 2021年3月10日号

【画像ギャラリー】風景に溶け込むキミは美しい! マツダ3試乗の様子をギャラリーでチェック!!!


■「SKYACTIV-X スピリット#1.1」(仮称)の真価やいかに

 マツダ3のデビューからそろそろ2年。グローバルでの年間販売台数約24万台は善戦と言っていいが、国内販売は年間2万台に届かず苦戦が続いている。

 ただ、ご存じのとおり昨年はコロナ禍に見舞われて正常な販売活動ができないなかでの数字。

 この状態がいつまで続くかはわからないが、2021年はマツダ3にとっても飛躍が期待されるトコロではある。

 その起爆剤として期待されているのが、言うまでもなくSKYACTIV-Xの改良版だ。

今回の改良はほぼ外観での変更点はなし。しかし、その走りは改良前のモデルからさらに洗練度を増していた。これは実際に市街地を走らないと実感できない

 史上初の圧縮着火ガソリンエンジンとして2019年秋にデビューしたSKYACTIV-Xは、夢の燃焼技術を実現した画期的エンジンと話題となったが、コスパや燃費性能には課題が残されていた。

 マツダはこの課題に粘り強く取り組み、昨年末にSKYACTIV-X改良版(仮称スピリット#1.1)を発表。

 スーパーチャージャーやマイルドハイブリッドの制御アルゴリズムを変更し、それにともなう燃焼制御を最適化した結果、出力で10‌ps、トルクで1.6kgmのアップを達成している。

写真右が改良版SKYACTIV-Xを積んだマツダ3ファストバックで、左側が改良前のマツダ3ファストバック。エンジンはパワーが10psアップ、トルクが1.6kgmアップ

 ボクは昨年10月にそのプロトタイプに試乗し、目に見える成果が出ていることをベストカーで紹介した。今回は正式な市販バージョンを公道で初試乗ということになる。

 まず、試乗したのはFFのファストバック6MT車。同仕様の従来型も用意され、「新旧2台の乗り比べをどうぞ」というセッティングだ。

 エンジンに関しては、乗り比べればその改良ぶりがすぐ実感できる。前回の記事でも書いたとおり、一番のポイントは気持ちのいいレスポンスだ。

鈴木氏によれば、「初期モデルで感じられた軽いノック音やがさついた回転フィールもなくなった」

 アクセルを踏んだ瞬間に過不足なく(これがとっても大事)立ち上がるトルク感と、そこからの素直な伸びのよさはまさに内燃機関の模範。

 電気モーターのダイレクトな加速感も悪くないが、長年エンジンに親しんだ人にはこっちの味わいも心地よい。古典的ながらとっても上質なドライバビリティを備えたエンジンに成長している。

 今回の試乗車はたまたま6MTだったこともあり、わざと早めに上のギアにシフトしてガクガクしそうなくらいの低回転域を使ったり、あるいはレッドゾーンの6800rpmまできっちり回してトップエンドの伸びを確認したり、エンジンの「ナマの特性」をいろいろとチェックしてみたのだが、まったくといっていいほど違和感がない。

リアビューでは右サイドにつけられるエンブレムに「SKYACTIV-X」の前に「e」の青文字が新たに入ったのが変更点だ

 初期モデルでは、低回転域で「チリチリ」という軽いノック音が聞こえたり、圧縮着火から通常のスパークイグニッションモードに切り替わる全開域でややガサついた回転フィールが感じられたりしたのだが、そういう部分も含めて全体に完成度がアップ。

 SOCCIモードではきわめて高度な燃焼制御を行っているのに、それを意識させない自然なドライバビリティを実現しているのはおみごとだ。

試乗車は鮮やかなレッドのスムースレザーを使用したシートを装着していた。ソウルレッドクリスタルメタリックのボディカラーに合う

 税込で約352万円という価格を考えると、欲を言えばあと2割くらい馬力とトルクをアップしてほしいところだが、このエンジンが本来持っているポテンシャルをもってすれば、そのくらいは充分射程圏内のはず。

 今回のエンジン改良は制御ソフトウェアの変更のみで、ハード部分にはいっさい手をつけず10ps/1.6kgmを稼ぎ出したワケだが、次のバージョンではさらに上を目指して欲しい。

■シャシーの質感も向上

 もうひとつ、改めて公道での試乗が楽しみだったのがシャシーの熟成についてだ。

 昨年10月のプロトタイプ試乗では、好感触はあったものの、クローズドコースでの試乗ということであえてそこは言及しなかった。

 今回はようやく首都高や市街地でいろいろなチェックができたワケだが、乗り心地面でシャシーの質感向上は明らかといっていい。

 ボクの認識では、マツダのシャシー開発チームは恐ろしくマニアックで粘っこい人が多いのに、なぜか初期のマツダ3の足からは「やり切った感」が伝わってこない。それが不思議でならなかった。

初期モデルから非常に質感の高かったマツダ3のインテリア。欧州のライバルたちとも充分に伍していけるだけの完成度を持っている

 新型に乗ってみると、ようやく開発チームが本来の力を出し始めてきた感触がある。

 妙な表現だけど、やっとシャシー作りにマツダらしさが戻ってきたという感じなのだ。

 マツダ3の足回りについて、ボクはデビュー以来ずっと不満を表明してきたが、今回の印象はとってもポジティブ。

 100%OKとは言えないものの、ついにセグメント平均を超える完成度に達したと評価できる。

マツダ3 価格表

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