徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回はスバル ジャスティを取り上げます。
2016年11月、国内ではおよそ22年ぶりの復活となったジャスティ(ただし、ルーミー、タンク、トールのOEM仕様)ですが、本家本元は1984年誕生のコンパクトハッチバック。
当時、シティやシャレード、カルタスなどがひしめくこのクラスに、スバルは4WDと4輪独立懸架(サスペンションが4輪すべて独立した形式)という高度なメカニズムを投入してきました。
特に4WDの採用は、スバルの面目躍如たるところで、レオーネと軽自動車のレックスの間を埋める貴重なモデルとして新しいスバルファンを獲得しました。そんなスバル ジャスティの試乗記をリバイバル。
※本稿は1984年に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
初出:ベストカー2017年1月10日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です
■スバル得意の4WDが組み込まれた2BOXカーの登場
富士重工(スバルの当時の称号。2017年4月、ブランド名として広く浸透していた「スバル」に変更)が’83年ドミンゴなる1L、ワンボックスの乗用車を登場させた時から、このジャスティの存在は疑いのないものだった。
いかに550ccの軽自動車用2シリンダーエンジンをベースにしているとはいえ、新しい1Lエンジンを開発すれば、それをワンボックスだけでは消化し切れまいと思うからだ。
はたせるかな、その後の東京モーターショーで2ボックスボディの小型車が参考出品され、ジャスティの名前で市場に登場した。
ジャスティは基本的に横置きのFWD車であり、シャレードやカルタスと同じ3シリンダーユニットを持つ。
しかし、ジャスティの特徴は、そのシリーズのなかに、はじめからお得意の4WD機構を組み込んだことだ。
エンジンはボア×ストロークが78×69.9mmで、総排気量は997cc。これは軽自動車レックスの2気筒エンジンに1気筒プラスしたものである。
SOHCエンジンで圧縮比は9.5と高く、最高出力63ps/6000rpm、最大トルク8.5kgm/3600rpmを発生する。3シリンダーなので、2次振動を打ち消すためのバランスシャフトを与えている。
ジャスティは3ドアと5ドアがあるが、なぜか、3ドアのほうがスポーティで5ドアは大人しいムードにしつらえてある。全長3535mm、全幅1535mm、全高1390mmのボディは視覚的にも実際にもコンパクトだ。
スタイルとしてはけっして新しくなく、むしろファミリアの流れを持つやや古いタイプ。そのなかで、エンジンフードの強い傾斜が若さを強調している。全体の印象は小さくて可愛らしいというイメージを与え、けっして悪くない。
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