いすゞ ジェミニZZ ハンドリングbyロータス試乗 国産小型スポーツたちが忘れたもの【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

■新型エンジン 1.6L 4XE1

最高出力135ps/7200rpm、最大トルク14.3kgm/5600rpmというスペックから想像するよりもずっとエンジンの性格は柔軟で、かつ高速のパンチもある。数ある1.6L DOHCエンジンの中でも特徴あるエンジンといえる。残念なのは、この高速タイプのパンチあるエンジンパワーに対して、少々トラクションが弱く、静止からのフルパワーは注意する必要があることだ。

また、5スピードトランスミッションとの組み合わせはとてもいいが、そのトランスミッションのストロークが過剰で、しかもフィールがよくないことはマイナスだ。

ブレーキはディスクを大きくし、サーボアシストの量も増やした。この結果絶対的な制動力もたしかに高くなった。しかし、欲をいえば、ブレーキキャパシティは増やしても、サーボはあまり大きくないほうがいいと思った。ブレーキ系の剛性を高め、踏力に応じた制動力を持つほうが、このクルマにはふさわしかろうと思う

■ハンドリングbyロータスを通して視る、国産小型スポーツの今

なんといっても吹け上がりがよく、サウンドもいいエンジンはこのクルマの大いなる魅力だし、前述したとおりカラーリングもいい。ツィーディなファブリックを張ったレカロシートもいい。この小さなFFスポーツは大人のクルマだと思う。

昨今の国産小型スポーツは絶対的加速や絶対的コーナリングスピードを追いすぎていて、カンジンな“スポーツフィール”や“スポーツムード”を忘れてしまっている。ところが、このクルマは“スポーツ”になりきっていて、一日乗ると若々しい気持ちにさせてくれる。ロータスの恩恵はことによると、そのへんにあるのかもしれない。

◎ジェミニZZ ハンドリング by ロータス 3ドア 主要諸元
全長:3995mm
全幅:1615mm
全高:1370mm
ホイールベース:2400mm
車重:950kg
エンジン:直4DOHC
総排気量:1588cc
最高出力:135ps/7200rpm
最大トルク:14.3kgm/5600rpm
トランスミッション:5MT
10モード燃費:13.0km/L
サスペンション:ストラット/トレーリングアーム
価格:155万1000円
※グロス表記

◎ベストカーテストデータ
0〜400m加速:15秒88
0〜100km/h加速:7秒71
最高速:185.8km/h

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