「全能力解放」の時が来た!! 新型フェアレディZ試乗でわかった「GT-Rにはない楽しみ」とは

■6速MTと9速ATを試乗チェック!

バージョンSTの6MTと標準グレードの9ATをテストドライブ!
バージョンSTの6MTと標準グレードの9ATをテストドライブ!

 試乗はバージョンSTの6速MT、標準グレードの9速ATという組み合わせで、まずは6速MTに乗り込む。

 前型までのザラザラやゴリゴリといった手触りは綺麗に消え、適度なクリック感で変速の手応えを伝えながらも、軽い力でスルッと吸い込まれるようにストロークする、そんなフィーリングに変貌した。

試乗の一コマ。走る姿もやはり美しい
試乗の一コマ。走る姿もやはり美しい

 9速ATのほうはパドル使用時の変速スピードも触れ込みどおりの速さで、ダイレクト感もトルコンのそれとは思えない。

 そのうえ、スポーツモードでは走りの状況や車両の状態に応じてアクティブに最適なギアを捕えてくれる。

 エンジンのフィーリングはスポーツモデルとして存分に感性を刺激してくれるものに仕上がっている。

 トップエンドの7000rpm直前までパワーのタレを感じさせず、サウンドもスピーカー出しでエフェクトを加えている上位グレードはもちろん、生の音を響かせる廉価グレードでも充分に刺激的だ。

赤と黒のコンビネーションが鮮烈な内装。新開発された9ATのセレクターの操作性もいい
赤と黒のコンビネーションが鮮烈な内装。新開発された9ATのセレクターの操作性もいい

 そうやって引き出された405psのパワーはさすがに強烈で、思慮なく扱えば挙動に現われるほどのワイルドな一面を持ち合わせているが、ボディコントロールの電子制御は思いのほか介入が少ない。

 言わずもがな、シャシー側のメカニカルグリップがパワーに負けることなくしっかり働いているということだ。

■「新型フェアレディZ」はどのステージでもクルマとの対話を楽しめる

 新型Zは力を腕っぷしで封じ込めるという男性的なイメージだった今までの日産のスポーツモデルとは一線を画する走りのキャラクターを描いている。

 タイヤの接地感が優しく、微小入力域からアシがよく動き、ロールやバウンドといった初期の動きは強く規制せず、負荷が高まるほどに踏ん張っていく、つまりある程度車体を動かすことを前提に405psを御している。

 一方、瞬間的な上屋の動きや加速・制動のピッチの大きさに、もう少しスポーツカーらしくサスをタイトに締めてもいいのではという意見が上がりそうなことは想像に難くない。

 が、GT-Rとはベクトルを異にし、クローズドコースでの速さよりもステージを問わず車両との対話を楽しむことを前提とするのがフェアレディZの趣旨であるがゆえ、個人的には現在のサスセットがベストだと思う。

新型フェアレディZの開発責任者である田村宏志CPSとのツーショット
新型フェアレディZの開発責任者である田村宏志CPSとのツーショット

 昨今の半導体不足や部品生産・調達、流通等の不安定化を受けて、7月いっぱいで一旦受注をストップするという新型フェアレディZ(編集部註:記事執筆当時)。

 現時点でも年単位の待ちになることは確実と見られている。その時は長い。

 一刻も早く状況が改善し、Zとはかくあるべしという開発者の想いが皆々に届くことを祈りたい。


【番外コラム】同エンジンを積むスカイライン400Rとのフィールの差は?

 新型フェアレディZとスカイライン400Rとの最も大きな違いは、意外や乗り心地だ。がっちり高められた剛性と煮詰めに煮詰めたアシのマッチングで、新型Zの乗り心地は速度域やタイヤサイズを問わず400Rを超えている。

 一方で、路面や風切りなどの透過音についても新型Zは進化の跡がみてとれるが、ここは400Rに分があるだろう。

 吹け上がりも回転落ちも鋭くトップエンドにスキッと突き進むエンジンの回転フィールも新型Zの400Rとの大きな差異だ。約200kg差の車重なども相まって、両車の境界線は想像以上に明快なものとなっていた。

【画像ギャラリー】走る姿も美しい!! 9色展開のカラーバリエーション含め“新型Z”をギャラリーでチェック!(35枚)画像ギャラリー

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