新型デリカD:5を乗ってみてわかった真価

新型デリカD:5を乗ってみてわかった真価

 ハードな悪路走破性と3列シートミニバンとしての居住性を併せ持つ、唯一無二の個性を持つ三菱デリカD:5。根強いファンを持つこのモデルが、大幅マイナーチェンジを実施した。

 最大の注目ポイントは、なんといっても大きく変更されたフロントマスク。クルマの「顔」だ。

 トヨタのアルファード/ヴェルファイアやエスクァイアのように、派手なメッキグリルで飾られたフロントマスクは、いわゆる流行りの「ギラギラ顔」。発表発売はまだ先だが(各販売店で予約は開始されており、2019年1月の東京オートサロンに出品、発表発売は2月と予想)、このたびジャーナリスト向けの試乗会が実施された。

 そこで実際に新型デリカD:5の姿をじっくり見て、乗ってみた石川真禧照氏に、その「真価」を伺った。

文:石川真禧照


■最初は「なんじゃこれは!」と思った

「三菱デリカD:5がビッグマイナーチェンジを行なう」という記事を、今年秋頃のベストカーで見た。

 そこに描かれていたイラストに目がクギづけになった。

2018年春頃にキャッチした新型デリカD:5の変更後のデザイン(ベストカーによるCG)。最初見た時は正直「実際に発売されるときはもっとおとなしい顔になるだろうな」と思っていたが…

 現行モデルの大人しく、ある意味、知的なデザインからフロントマスクが一転して、大胆不敵。

 ヘッドライトはLEDをタテにズラッと並べ、ライトの間のグリルも4本の太いメッキバー。新しく設定された「URBAN GEAR(アーバンギア)」は、同じくタテ長のLEDヘッドライトと、やはりクロームメッキのバーが並んでいた。

新型デリカD:5はノーマル仕様も派手な顔だが、上級仕様にあたる「アーバンギア」はさらなる派手顔仕様。実物は予想CGよりさらに派手でギラギラしてました…

 この新型デリカD:5のプロトタイプ試乗会が伊豆のサイクルスポーツセンターテストコースで行われるというので、さっそく参加した。

 コース上に並んだ2台の新型デリカD:5をはじめて見た。

 確かにフロントマスクはこれまでとはガラリと違うが、基本的なスタイルは現行モデルと同じスクエアな形状なので、実写を前にするとフロントマスクだけに目がいくわけではない。

 でもまずこのデザインのことを指摘する。

「なんですか、このデザインは?」

「ぼくも最初は、なんじゃこれは!と言いました」

 と製品開発本部担当MGの西岡氏。

 やっぱり社内でもこのデザインは物議をかもしたのだ。

 でも、発売から10年を経過しているD:5を目立たせるにはこのぐらいのインパクトは必要、ということで、採用が決まったという。

 たしかに派手だし目立つが、実際に太陽光の下で実車を見ていると、フロント部分とはいえ車体全体のなかの一部分なので、あまり気にならなくなってきた。

 写真だと妙にフロントが強調されてしまう。しばらくすると、この新型D:5がカッコよく見えてきた。

■悪路での乗り心地が大きく向上

 クルマは走ってナンボ。スタイリングよりもSUVとしての走りも気になる。

 新型は、ディーゼルエンジン、ミッション、4WDシステム、サスペンションなどのメカ部分を大幅に手直ししている。その性能が気になる。

ついフロントマスクの変更に注目が集まるが、エンジン、トランスミッション、4WDシステムなど、かなり大幅に変更が加えられている

 エンジンをかける。

 2.2Lディーゼルターボは今回から尿素SCRを排ガス浄化に採用した。これが大成功。アイドリング時の音が静かになった。走り出してもガラガラ音が低く抑えられている。振動も少ない。トルクも太くなっている。

 最初の試乗コースはオフロード。モーグルのような凹凸路と急な登り坂と下り坂が組み合わされたダートコースだが前日の雨でぬかるんでいる。

 タイヤは標準装着のヨコハマジオランダーオールシーズン。ダート用のタイヤではない。

 センターコンソールのAWC(オールホイールコントロール)ダイヤルを4WD(オート)にして、Dレンジでスタートする低速を保ちながらコースをクリアする。

 急な登り坂でタイヤがスリップしはじめる。そのままアクセルを踏んでいるとグリップが回復し、坂をクリアした。

 モーグルコースも「最低地上高が現行の215mmから185mmになって大丈夫?」とネットで書かれていたが、床下をまったくこすることもなくクリア。

 2周目は、ダイヤルを2WDにしてチャレンジ!

 2WD+オールシーズンタイヤでもAWCは結構頑張る。

 さすがに湿ったダートの急な登り坂では途中でスリップしはじめる。すかさずダイヤルを4WD(オート)に合わせると、なんなくグリップを回復し、脱出した。

 オフロードでの乗り心地がよかったのも、現行モデルとの大きな違いだった。サスペンションの改良も効果的だ。とくにダンパーのサイズを大型化したリアサスの動きがよい。

次ページは : ■進化の主役は「顔」というより「走り」

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