中身の真価は「顔」以上!? ATも8速化で“今どきの車”に
トランスミッションは最新の8速ATへと多段化された。パドルシフトに加え、マニュアルモードも設定する。最高出力は3ps減っているが、最大トルクは20Nmも増強された。性能的には4Lのガソリンエンジンに肉薄する。
新世代ディーゼルは低回転から気持ちよくパワーとトルクが盛り上がった。アイドリングの少し上の領域からトルクがモリモリとわき出し、力強い加速を披露する。追い越しを想定した再加速も冴えていた。
実用域のトルクは今までより分厚く、回転フィールも滑らかだ。8速ATも滑らかにつながるから扱いやすい。このフレキシブルなエンジン特性は、滑りやすいオフロードでも威力を発揮。低回転でも十分なトルクが得られる。
驚かされたのは、クルージング時の静粛性が大きく向上していたことだ。高速走行は試せなかったが、8速ATのありがたみがよく分かるはずである。
ちなみに現行モデルの100km/h走行中のエンジン回転数は1850回転くらいだ。新型は、これを300回転くらい下回っている。フロアやルーフに遮音材をおごり、エンジンルームにも防音材を多用したから静かだった。実用燃費も向上しているだろう。
電子制御の4WDシステムには4輪接地荷重や制動力配分、4輪スリップなどを統合制御する三菱自慢の「AWC(オール・ホイール・コントロール)」技術を導入している。
新型では前後駆動力配分のパラメーターに、これまでの舵角に加え、ヨーレート制御を追加。オートモードの時でも、今まで以上に適切な駆動力配分を行えるようになったのが嬉しい。もちろん、4WDロックモードを選べばSUV顔負けの卓越した走破性を発揮する。
走破性はSUV並み! オン・オフ使える長所は「変わらない」
舗装路では冴えたフットワークを見せつけた。従来型のデリカD:5でもライバルより剛性は高く、長く乗り続けてもスライドドアは無理なく開く。新型はサブフレームを新設計するなどの努力によって剛性をさらに高めた。
また、ステアリングギアは滑らかなデュアルピニオン式に、サスペンションもコイルスプリングの受け角度を変えてフリクションを20%も減らしている。だから走り出して100mくらいで大幅な進化を実感できた。
背は高いが、直進安定性に優れ、サスペンションはスムースに動く。ロールするときの動きもよくなった。舵の利きが驚くほど洗練され、舵を入れたときの動きも滑らかだ。速い速度のコーナリングでもコントロールしやすく、絶大な安心感がある。荒れた路面を駆け抜けてもショックを上手に受け流す。だから乗り心地は驚くほどよくなった。新型はブレーキング時の挙動の乱れも小さい。
オフロードでは三菱自慢の4WDシステムの凄さを見せつけた。
試乗日は朝まで雨が強く降り、滑りやすく、路面も荒れていた。が、オートモードでもトラクション能力は高く、コントロール性も優れている。片輪が浮くようなギャップも無理なく走破できるなど、走破性はSUV並みだ。
この走破性の高さと絶大な安心感がデリカD:5の最大の魅力である。デリカスターワゴンの時代から走破性は他のミニバンを寄せ付けなかった。この低ミューのステージでは今も敵なしだ。
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