ジムニー vs Gクラスを水野和敏が斬る 価格差10倍!! パワー差10倍!! 

■Gクラスはラグジュアリーオフローダーだ

Gクラスのバックドア開閉部分の構造は凄く考えられています。

後部開口部の対角線に当たる位置にガッチリとドアが嵌合するテーパー形状の部材を配置することで、後部ドアを閉めるとこの部分は完全な車体構造体の一部となり、強固な剛性を発揮するのです。ドアそのものが梁のような役割をするのです。

閉めたドアを思い切り体重をかけて押し引きしてもびくともしません。ジムニーの同じ場所を改めて見てみると、ベンツGクラスほどではありませんが、それでも同じような構造としている点は感心させられます。

ベンツGクラスのサスペンションスイングアームはジムニーと比べると短いです。いや、こちらが標準的な長さで、ジムニーが驚異的といえるほどに長くとっているのです。

ジムニーは前後ともにリジッドアクスルですが、スイングアームを長くすることで凹凸の大きな路面状況でも確実な接地を目指しているのです。

ジムニーと比べるとフロントが独立懸架方式のベンツGは『乗用車』に感じます。

ジムニーは軽自動車ということもあり、低コストで開発しなければなりません。そのなかでも最高のオフロード性能を実現しようと、さまざまな知恵を盛り込んでいる。

ノウハウの塊のようなクルマです。本当に感心しますし勉強になります。この乗り心地や取り回しのよさや四隅の見切り、そしてデザインとカラーを見ると、アメリカで若い女性が派手な色のジープを好んで乗るように、日本でも一般女性が都会派として乗るのもレトロ・モダンでお薦めと思いました。

ベンツGクラスは車高が高く大柄なので、エンジンフードを開けると先端部分に手が届きません。どうやって閉めたらいいでしょう!?

エンジンは4LのV8ツインターボです。ジムニーの約6倍の排気量で、シリンダーの数は2.6倍です。価格はおおよそ10倍です。

V8の4Lを搭載するG63。長いボンネットフードは閉める時に非常に苦労する

エンジンルームに配置されている図太い鉄製のパイプは単なるストラットタワーバーではなく、バルクヘッドに沿うようにグルリと曲線を描いて両サイドのサスペンション取り付け部を繋いでいます。

これは車体スタビライザーの役割をします。適度にしなるように設計されていて、ボディのねじれをコントロールしているのです。

このバー自体は左右のサスペンション取り付け部に2点留めされているだけで、ほかの部分でボディ本体とは接続されていません。この構造は基本に忠実で、とても素晴らしい。

ベンツG63AMGは、正直言って砂漠ではちょっと使えないと思います、岩場や瓦礫や一般オフロードや雪道ユースでしょうか?

フロントが重すぎて砂地の窪みで埋まってしまいます。ちなみに前軸重量は1410kg、後軸重量は1120kgです。一方ジムニーは前軸重量560kg、後軸重量470kgです。

Gクラスのインテリアは豪華です。メーターパネルはSクラスを始めとするセダンシリーズなどと同じ液晶を使ったグラフィカルなデザイン。

ステアリングの形状やインパネ全体のデザインなどと合わせて、室内に乗り込んでしまうとGクラスであることを一瞬忘れます。

もちろん前方視界は高いアイポイントから見下ろす感覚で、セダンとはひと味違います。また、”ガチャッ”と閉まるドアのメカニカルな音など、ゲレンデバーゲンらしい無骨さはちゃんと残してあり、モダンとワイルドの融合が絶妙です。

内装はSクラスのような優雅さを感じるもの。歴史のあるオフローダーではあるがメルセデスの雰囲気を崩さずに、ドアの開閉音などに武骨さも盛り込んでいる

後席はそれほど広くはありません。ホイールベースが長くないためです。床から座面までの高さを航空機の座席程度まで高くして足を投げ出せない姿勢で座るようにして、前後の長さを必要としないポジションにしてあります。

乗っていて少し疲れそうです。あまり後席のことを重視したクルマではありませんね。後席は、座面を前に起こして背もたれを前倒させて収納することができます。

ただ、荷室側から見ると倒した後席との間に大きな段差ができてしまいます。日本車だったらこの段差は絶対にあり得ないのですが、ベンツだけでなくドイツのメーカーはこういうところを気にしていません。

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