ジムニー vs Gクラスを水野和敏が斬る 価格差10倍!! パワー差10倍!! 

■ジムニーはもう少し低速トルクが欲しい【92点】

では試乗といきましょう。走り出すと、長いスイングアームのおかげでとてもよく動いていて乗り心地もスムーズな足の動きです。

ただ、舗装路で速度をちょっと上げてくと、あの長いスイングアームがよじれてしまいます。操舵して横Gがかかるとロールしながら同時にスイングアーム自体が縦方向によじれてしまうのです。

ロールに対して”だらーん”とした動きが加わってしまいますが、スズキの開発陣はそれよりもオフロードでのホイールトラベルのジオメトリー変化を嫌ったのでしょう。

考え方としては大いに理解できます。また、タイヤとのマッチングが絶妙。スイングアームのよじれとタイヤのサイドウォールのつぶれ方が絶妙にマッチングされているのです。

オフローダーとして見たときにもう少し低速トルクがほしいと水野さん。3気筒エンジンの評価は悪くなかった

サイドの硬いスポーツ系のタイヤに変えると操安性のバランスが大きく崩れてしまうと思います。この前後のよじれの動きはバランスされていて違和感はありませんし、直進安定性はしっかりと確保されているので普通に走っていて不満はありません。

乗り心地はとてもいいです。リジッドアクスルのクルマだとは思えない足の仕上げです。やはりオフロードを走らせてみないとこのクルマの本当の価値はわからないのでしょう。

エンジンは軽自動車の3気筒ターボですが、室内に入ってくる音はそれほど大きくなく、振動も気になりません。

動力性能的には街中を走るにはまったく不満はありませんが、山道の上りだともっとパワーがほしいですし、オフロードを走るには低速域からのトルクがほしいです。

■G63はソフトなタイヤでバランスをとっている【92点】

メルセデスAMG G63で走り出すと、コーナーでGがかかるとシートのサイドが張りだしてきて身体を支えてくれます。これはとても効果的。

左コーナーでは背もたれ右側のサイドサポート部がグゥゥと膨らんで身体が右側にずれないように抑え込んでくれます。

エンジンは強力です。なにしろV8、4Lツインターボで最高出力は585ps、最大トルクは86.7kgm。アクセルをグイと踏み込むとリアサスが沈み、あわせて柔らかいタイヤが変形しリアが大きく沈み、フロントが浮き気味になってしまいます。

スポーツモードのサスにしても真っ直ぐ走らず少しよれてしまいます。ちょっとやり過ぎ……? コンフォートモードにすると乗り心地はいいです。

タイヤの特性ともマッチングしています。トレッドとサイドウォールのたわみ方とサスペンションの動きが絶妙に合わせ込まれています。

固めのサスに柔らかいタイヤが絶妙にバランスをとっているというG63。少しやりすぎな印象も受けるという

スポーツモードにすると、サスが硬くなり、タイヤのたわみがクルマ全体の「よれ感」として伝わってきます。

このクルマ、タイヤを変えると操安性や乗り心地はまったく別のクルマと思えるくらい大きく変わってしまうと思います。

サスペンション自体はあまりストロークしておらず、コンフォートモードでもコツコツした入力を感じ、ちょっと硬いです。

相対的にソフトなタイヤの上下変形を使ってクルマ全体の操安性と乗り心地の動きとバランスを作りだしています。

今度機会があればAMGではない、標準モデルに乗って評価確認したいです。この仕様だとちょっとエキセントリックで、オフロード車としての総合的な評価には疑問が残ります。

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