駆け抜ける歓びは健在!? 新型BMW 3シリーズ 乗ってわかった「原点回帰」とは??

 日本において定番の輸入車かつスポーツセダンといえば、BMW 3シリーズ。かつて「六本木のカローラ」と言われたのも今は昔。通算7世代目となる新型が、日本でも今春からいよいよ発売が開始される。

 国産車ではマークXが生産中止間近でスカイラインも年間2570台の販売台数に留まるなど、国産セダンが停滞気味なことを考えれば、日本だけで年間7997台(2018年)を売り上げるBMW 3シリーズが、如何にスポーツセダン派の支持を受けているかがわかろうというもの。

 今度の3シリーズは、そんなスポーツセダン派を唸らせる“駆け抜ける歓び”に満ちているのか? 正式発表前にひと足早く新型に試乗。日本導入モデル情報も合わせて紹介したい。

文:渡辺敏史
写真:BMW AG
ベストカー 2019年1月26日号


どこか進化? 新型3シリーズの狙いとポイント

新型BMW 3シリーズのリアスタイル。今回試乗した330iは発売時から日本市場に導入される見込み

「マルニ」こと2002シリーズの後継として初代3シリーズ(E21系)が登場したのは1975年のこと。以降6世代、43年にわたって販売されたその数は四捨五入すると約1600万台に達するという。

 単一車種で通算1000万台というのが誰もが認める名車への分水嶺だとすれば、BMW3シリーズはすでにその関門を軽々と越えていることになるワケだ。

 先代F30系から数えて6年ぶりのフルモデルチェンジとなる7代目の新型3シリーズ(G20系)は要求される環境性能達成と先進安全装備の洗練を主軸に、デザインや装備の面も含めて全方位的にプレミアムDセグメントにおいての変わらぬベンチマーク……というよりも、再びそこを引っ掻き回す台風の目であることを使命に開発されたという。

 そのボディは現行7シリーズ以降、型番的にはG系の世代に通じる「CLARプラットフォーム」を採用。上位車種と同じくピラーにカーボンの芯材を用いるような大胆な車体構築は望めないが、コンピュータ解析の速度や精度の向上による最適設計に材料置換を組み合わせ、例えば前アクスルのサブフレーム結合部やストラットのアッパーマウントなど、部位的剛性では先代比で50%も高めることに成功。全体的には静的ねじれ剛性で25%の向上をみているという。

 プレシジョン&ポエトリー、すなわち精緻で詩的であることを目指したというエクステリアデザインは言葉だけ聞けば意味がわからずとも、眺めるに3シリーズの範疇からは著しく外れていない。

 最新のモデルに共通する中心部が繋がったキドニーグリルは、センターにADAS(運転支援システム)用のセンサーを収めるための窮余のディテールともいえるが、散漫になりがちだったキャラクターラインを減らしてボディサイドの強力な抑揚感でBMWらしさを表現するなど、その手法は詩的か否かはさておき精緻ではある。

 ちなみにライトのグラフィックは20世紀と21世紀の狭間を生きたE46系のそれをオマージュしているというから、このあたりが詩的な話になるのだろう。

ついに全幅1.8m超! 新型の概要と日本導入モデル

新型の320d。こちらは発売時点では日本に導入されない予定だが、後から追加される予定だ

 ディメンションは全長×全幅×全高が4709×1827×1442㎜。数字的には現行Cクラスのそれに相当近い。先代はドアノブの形状を専用とすることで日本仕様はギリギリ1800㎜を保っていたが、新型ではそれもいよいよ難しいという。

 日本仕様として当初予定される搭載エンジンは、完全新開発の2L直噴4気筒ツインパワーターボの2種類で、それぞれ「320i」と「330i」ということになる。

 両車の基本設計は同じで低回転域と高回転域とで2つのタービンを使い分けるシーケンシャルタイプを採用、330iでは350バールの高圧インジェクターの採用によりトルク特性の改善が達成され、262psの最高出力とともに40.8kgmの最大トルクが発せられる。

 これは来春から予定されるデリバリー時のラインナップで、さらに2019年中には2L直列4気筒コモンレールディーゼルの「320d」、そして3L直列6気筒を搭載したMパフォーマンスの系統となる「M340i xDrive」が追加される予定だという。

 3シリーズのインテリアは、ドライバーオリエンテッドだった先代に対しては若干の平等化、つまりシンメトリック化が図られたように窺える。各部の質感はさすがによく練られており、Cクラスやアウディ A4、レクサス ISやジャガー XEといったライバルと対峙してもひとつ抜きん出たところにあるといっていいだろう。

 また、前型より40mmあまり伸ばされたホイールベースもあって、後席の居住性が改善されているところもファミリーユースには嬉しいところだろう。いっぽうで、日本では確実に行動範囲が狭まることになるのは致し方ない話だ。

 レーンキープの緻密な保舵、滑らかな加減速制御など、進化したADASの恩恵は身近なドライブでも充分に体感できるが、新型3シリーズはその先進性を示すもうひとつの手段として、「BMW インテリジェント・パーソナル・アシスタンス」なるアイテムを搭載している。

 長すぎる名前のこれは、メルセデスがAクラスで初搭載したクラウドAIによる対話型コミュニケーション&コネクトシステムに類するものだが、新型3シリーズのそれは最初の呼び名を好きな名前で設定できるなどのパーソナライズが可能だ。ちなみに日本仕様のローカライズは順調に進んでいるという。

ドライバー中心だった現行型より若干の平等化が図られたという新型3シリーズのインテリア

現行型比でホイールベースが40mm延長された恩恵で、居住性が改善されたリアシート

「スポーツセダン」として新型3シリーズの走りはどうか?

 一般道で試乗したのは「320d」と「330i」だが、走りの第一印象はともあれ静か、そのわりには乗り味がやけに硬く引き締まっているというものだった。現在のトレンドを汲めば、もう少し上屋をゆったり動かしても乗り心地側に振りそうなところを、ギャップごとにドライな反応を示すそれはどこか懐かしいドイツ車の匂いがする。

 特にロックtoロックで2.1回転というスポーツステアリング&スポーツサスの組み込まれた仕様では、その曲がりたがり度はこちらが心配になるほどだ。

 が、その仕様となった「M340i」をタフなクローズドコースでドライブすると、その振る舞いが完全にスポーツカー領域であることに驚かされた。

 車重や車格を鑑みれば相当に厳しい中高速逆バンクコーナーの続くコースを、340psの直6を踏みっぱなしで乗り続けられること自体が異常だというのに、M340iは何度も周回を重ねたところからでもインへアウトへと自在に身を振っていく。まったくへこたれる様子のないそれは単にタフというよりも、骨格からして運動性能をきっちり絞り出すことを目的としたからにほかならない。

 やれハンドリングだアジリティだと、巷のセダンたちはスポーティネスを自らの商品価値とすべく、練磨を重ねてきた。そこにきて新型3シリーズはその元祖として、再びスポーツセダンとはいかなるものかを唱えようとしている。僕の目にはそのように映った。

◆  ◆  ◆

 新型3シリーズの日本仕様に関しては間もなく、今月末に正式発表される予定。価格を含めた詳細は、そのタイミングで改めてお伝えしたい。

■新型 BMW 330iセダン(欧州仕様)

全長×全幅×全高:4709×1827×1442mm
ホイールベース:2851mm
駆動方式:FR
トランスミッション:8速AT
エンジン:2L直列4気筒DOHCターボ
最高出力:262ps/5000-6500rpm
最大トルク:40.8kgm/1550-4400rpm

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