ハイブリッドの走りは若干非力!?
そのベストなドラポジで6速MTを操作しながら、渋滞のハリウッド市街地へ繰り出した。2Lマイルドハイブリッドエンジンは適度にアイドリングストップを行う。エンジンの再始動にストレスがなく、かかりが早い。
しかもクラッチの繋ぎがスムーズで、発進にそれほど神経を使うこともない。このシステムは24Vのベルト駆動「B-ISG」。つまり、オルタネーター(発電機)を駆動も行うモーターに置き換えたもの。回生で発電した電気エネルギーはリチウムイオン電池に蓄える。
またシフトアップ時には瞬間的に回生を行って、上昇したエンジン回転を強制的に下げ、次のギアにスムーズにシフトできるような制御も行う。実際、峠での頻繁なシフトチェンジがとても気持ちよく決まる。シフトストロークも短めで市街地でも操作が楽しい。
正直、峠の上り坂では122ps/21.7kgmという出力はアンダーパワーに感じる。しかしMAXパワーを絞り出す6000を超える高回転域でも振動感がなく、どこまでも回るストレスを感じさせないスムーズなエンジンだ。
高回転域でもエンジンノイズが気にならないのは室内静粛性が高いこともその一因。NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュ)に関してボディの作り込みは非常に高いレベルだ。980Mpa以上の超高張力鋼板の使用比率が、現行モデルの3%から30%に引き上げられたことも関係しているのだろう。
ハンドリングは「クラス随一の出来」
さて、最後に気になるハンドリングだ。コーナーへの進入で安定感があり、初期操舵から切り足してゆく中舵を超えるあたりまで、実に思いどおりのスムーズなラインがトレースできる。唐突すぎず鈍すぎず。ちょうどよい操舵感覚。
リアサスペンションがこれまでの独立式から左右が繋がったトーションビーム式へと簡素化されているため不安に思っていたが、走るとCセグメントで一番ではないかというハンドリングだ。
これは、フロントのロアアーム前側ブッシュのインナーパイプにバルジ機構を採用し、アームの前後方向の動きを減らすことでよりタイヤにストレスをかけ、タイヤ表面を早く潰れさせて遅れなくサスペンションの上下方向に力が伝達する。つまり、タイヤとサスペンションそれぞれの動きに時間差が発生しにくい構造にしたのが、効果を発揮している。
その構造でリアがこれまでの独立式サスペンションだと、トーインが多くつく傾向にあるため、リア側が粘りフロントがアンダー気味になってしまう。
そこで、リアサスを左右が繋がった剛性の高い形式にしたのだというが、リアをシンプルなトーションビーム式サスペンションとすることで、ここまでハンドリングを進化させることができていることに、ボクは驚きを隠せないでいる。
コーナリング中のロールそのものもとても少なく、しかし硬すぎる足にはまったく感じない。次に乗った4ドアセダンも同じようなハンドリングと乗り心地だが、5ドアハッチモデルがサマータイヤを装着していたのに対して、4ドアセダンはオールシーズン用タイヤを装着していた。この点の違いもあり、4ドアセダンのほうが重量差も含めて少し柔らかめの足に感じた。
パワー自体は186hpあるので2Lハイブリッドより力強く感じるが、ボク個人としては2Lハイブリッドのほうに、より好印象を持った。
■新型 マツダ3 主要諸元(欧州仕様)
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