新型スープラの兄弟車として話題のBMW Z4。なんだかスープラの陰に隠れてしまった感じもあるのだが、こっちもれっきとした「本命」だ。
スープラとコンポーネントを共にする3Lターボの直6は、レーシングドライバー山野哲也の目にはどう映ったのだろうか?
オープンボディのZ4、その実力に迫ります。
文:山野哲也/写真:奥隅圭之
■オープンボディでもボディはがっしり!! これぞBMWテイストだ
ヘッドライトがBMWらしからぬ丸っこい形状となったことで、フロントマスクの印象はずいぶんと変わったけれど、キドニーグリルがあることでBMWのクルマだと一目でわかる。
また、ボディサイドの斜めに入ったシャープなキャラクターラインがZ4らしさを感じさせる。リアスタイルは、新型3シリーズにも似たコンビランプの形状で、最新のBMWのデザインテイストをアピールしている。
ボディサイズは4335×1865×1305mmでホイールベースは先代Z4に対し25mm短い2470mm。決してコンパクトなサイズではないが、視覚的にはギュッと凝縮されたようなカタマリ感のあるフォルムに感じる。
走り出してすぐに感じるのが、しなやかさのある乗り心地。だからといってダラダラとソフトなのではなく、しっかりと路面の微細な凹凸などの情報をドライバーに伝えながら、踏ん張るところは踏ん張るという足。ブッシュの剛性が高いのだ。
路面のインフォメーションがしっかりと感じられるので、ドライバーとしてはとても安心感がある。
速度を上げていくと、今度はダンパーとスプリングがしっかりと効いている印象。タウンスピードではややソフトに感じた足が、速度を上げるにしたがってハードに、ガッチリとしていく感覚だ。
オープンのボディがよれるようなことはなく、しっかりと路面の入力を受け止めている。剛性感の塊のようなクルマだ。
今回乗ったM40iのエンジンは直6、3Lターボで340ps/51.0kgmなのだが、体感的には400psを超えているような加速感。
1570kgという車重を考えるとパワフルで速い。スポーツモード時にアクセルをポンと離すと “バババッ!”と激しい音が出て、これがとても気持ちいい。
8速ATはシフトアップ時はポンポン繫がって小気味いいのだが、パドル操作のダウンシフトで若干のタイムラグを感じた。
スパッと、ドライバーが意図したポイントでダウンシフトをしてくれないと、期待したエンジンブレーキが得られず、ドライビングのテンポが乱れる。
ブレーキに関しては、ペダルの剛性感がもうちょっとほしい。また踏力に応じた効きのコントロールの幅がもう少しあると嬉しいのだが、Mモデルと比べての話なので少々高望みか。
BMWのクルマはどれに乗ってもコーナリングでアクセルを踏み込んでいくことでグイグイと曲がる操縦性。
後輪駆動車だと通常は押し出されることでアンダーステア傾向となるのだが、それを感じさせないのがBMW操縦性の妙味。
このZ4でも、もちろんそれが味わえる。(山野哲也)
【BMW Z4 主要諸元】
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