マネのできないこれぞ「ザ・マツダ車」!!! 3代目アテンザ 試乗プレイバック

マネのできないこれぞ「ザ・マツダ車」!!! 3代目アテンザ 試乗プレイバック

 本誌「ベストカー」2013年1月10日号のマツダ アテンザ(現マツダ6)試乗をプレイバック。

「人馬一体」。マツダが好んで使うこの言葉を追求してアテンザは生まれた。ディーゼルだけじゃない、その走りのよさの秘密に迫る!!!(本稿は「ベストカー」2013年1月10日号に掲載した記事の再録版となります)

Text/松田 秀士
Photo/中里慎一郎

■「ガソリンエンジンのような気持ちのいい加速」の秘密

マツダ アテンザに試乗!
マツダ アテンザに試乗!

 CX-5の好調な販売と急激な円安によってマツダが元気になってきている。喜ばしいことである。マツダは輸出を含め日本国内での生産が約7割を占める国内生産重視の自動車メーカーなのだ。雇用も含めて日本に貢献している。応援したいぞ!

 人気のディーゼルエンジンは燃費がよく軽油も安い。でも、こんなに安いのは世界中でも日本だけ。日本人のためのエンジンといっても過言ではない。

 では、アテンザに乗ってみよう。

 ハイ、エンジンかけます。おお、振動も少ない。しかもCX-5のディーゼル搭載車よりも室内ではエンジン音が静かだ。走り出すと、極低回転からしっかりトルクがあって、ちょっとアクセル踏むだけでスルスルっと加速する。

 さらに、6速ATがすぐにシフトアップしてゆくので、アクセルを大きく踏み込まない限り、低いエンジン回転を維持して速度が増してゆく。いかにも燃費がよさそう。

 よし、ではアクセルを踏み込んでみよう。すぐにギアがシフトダウンされてエンジン音が高まり、力強い加速だ。高回転域で息切れるように加速力を失うのがディーゼルの常なのだが、まるでガソリンエンジンのように気持ちよく高回転まで回るぞ。

欧州車のテイストを持つ規律のあるインテリア。オルガン式のペダルに注目
欧州車のテイストを持つ規律のあるインテリア。オルガン式のペダルに注目

 実はSKYACTIVディーゼルエンジンは、世の中にあるディーゼルよりも圧縮比が14.0と低い。一般的には16.0以上あるのが常識。

 圧縮比が低いと爆発力が弱くパワーがなくなるのがエンジンに共通した常識だが、マツダは爆発力が弱いぶん回転部分などの部品強度を下げて軽量化し、それがガソリンエンジンのような気持ちのいい加速につながっているのだ。

 さらに、圧縮比が低いおかげでディーゼルの泣き所である窒素酸化物も少なく、後処理なしでも排ガス規制をクリアするクリーンディーゼルなのだ。

 ちなみに輸入モンに目を向けると最近話題のBMWの2Lディーゼルは圧縮比16.5で184psを4000rpmで発生する。

 マツダは2.2Lで175psを4500rpmで発生するのだ。パワーでは9ps負けるが最大トルクでは42.8kgmとBMWの38.7kgmよりも4.1kgm勝る。

 ピークパワーはBMWのほうが上で力強いが、低回転のトルク感と高回転の抜けるようなレスポンスはマツダのほうがよい。実際、振動も音もマツダのほうが静かだ。アイドリングストップからの再始動もマツダのシステムのほうがスムーズに感じる。

 しかし、上には上があるものでベンツさまのディーゼルはやはりすごい。まぁV6だし排気量も3Lで211psと日本にあるディーゼルでは王様。すべてにおいてスムーズだ。

 が、BMWもベンツも窒素酸化物の後処理システムが必要。部品点数も重量も増え、値段も高くなる。コストパフォーマンスなら間違いなくアテンザが1番だ。

■ガソリンモデルの出来は想像以上

セダンのフォルムは日本車離れしたダイナミックなものだ。モール類のクロームメッキが高級感を醸し出す
セダンのフォルムは日本車離れしたダイナミックなものだ。モール類のクロームメッキが高級感を醸し出す

 アテンザには2.0Lと2.5Lの2つのガソリンモデルがある。

 もちろん2台ともにマツダのSKYACTIVテクノロジーが注ぎ込まれて、エネルギー回生システムにキャパシタを使うアイ・イーループ(全車標準装備)などマツダ独自の技術が投入され高い燃費と環境性を実現しているのだ。

 まずは2.5Lの印象。

 ディーゼルに比べりゃアクセルをたくさん踏み込まなくてはやっぱりちょっと力が足りない。

 しかし、スムーズで回転の上昇に比例してパワーが増す感覚はやっぱりガソリンエンジンでないと味わえない。エンジン音もイイ。

 感心するのは6速ATのシフトプログラム。Dレンジで普通に走り出せば次々にシフトアップ、低回転を保ったまま速度が上がり、燃費を節約する。

 また、ATのトルコンがスリップロスを極力抑えるようにロックアップという作業を早めにやってくれるので、MTのようにダイレクト感がありスポーティ。もちろんそのぶん燃費もよいはず。

 では2.0Lはどうよ?

 こちらはファイナルのギア比が変更され、パワーのないぶんをギア比で補っている。だから、自転車でいう一枚大きなギアを使う感覚なので市街地の走りなら2.5Lに劣らない。逆に2.5Lよりもよりスポーティなフィールで心地よかったぞ。

 ガソリンモデルはディーゼルよりも軽いからハンドリングはより軽快でスポーティ。張りのある硬めのサスペンションだが、一旦コーナーリングに入るとしなやかにロールして大人のスポーツらしい奥の深いハンドリングだ。

 またブレーキのタッチがよく、信号待ちなどの減速にしたがいペダル踏力を緩める時のリニア感がすばらしい。

 ディーゼルの加速力と経済性か、走りの軽快なガソリンか。悩むところだがどちらもレベルは相当高い。

次ページは : ■先進技術もふんだんに取り入れた

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