2013年2月、ジュークをNISMOがチューニングしてコンプリートカーとして販売を開始したのはちょっと驚きだった。なぜに日産モータースポーツの総本山たるNISMOが久々に送り込むコンプリートカーがコンパクトクロスオーバーのジュークなのか!?(本稿は「ベストカー」2013年4月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部/撮影:平野学
■内外装に感じる日産ワークスの血統!
エクステリアは見てのとおり。もともと個性的なジュークのルックスがより派手になっている。
特に目立つのがリップスポイラーが追加されたフロントパンパーとリアのルーフスポイラー。そして5mmワイドになった前後のフェンダーだ。
空力パーツはGTマシンの開発などの経験を生かしたNISMOならではのもので、「カッコよりも空力性能重視」で開発されたもの。
225/45R18サイズのタイヤを収めるためにフェンダーがちょっとだけワイド化されているというわけ。
インテリアもしっかり手を入れられていて、白眉はシート。
スエード調表皮が張られたフロントシートはサイド&ニーサポートが張り出したスポーツタイプなのだが、座ってみるときつすぎることはなくゆったり座れて、だけどコーナーではしっかりと身体をサポートしてくれる『わざもの』。
シート開発担当者が形状を徹底的にこだわって作り上げたのだという。
こうしたドライバーの感覚を大切にするあたり、レーシングマシン開発からフィードバックされたNISMOのDNAだろう。
■ドライビングが楽しくなるハンドリングとCVTの設定
エンジンはECUのファインチューンで190ps→200ps、24.5kgm→25.5kgmにパワーアップされているが、乗ってハッキリ体感できるほどの差ではない。
それよりも楽しかったのが7速マニュアルモードを備えたCVT。
スポーツモードで全開加速をするとまるでデュアルクラッチMTのような小気味よさでポンポンシフトアップ。
あえて多段ATのような「シフトアップ感」を演出することでスポーティなドライブフィールを演出しているのだ。
足回りはちょっと「堅いかな」という印象だったのだが山道へ入るとこれが軽快でキビキビ走るのだ。
ほどよくロールしながらイン側のタイヤがしっかりと接地しているのでコーナリングが安定しているのが特徴的。さすがはNISMOの仕事。
価格は285万750円で、ベース車の36万7500円アップは充分に納得だ。
■ジュークNISMOのここが凄い!
・ミハエル・クルムが開発に関わったハンドリング
・190ps→200ps、24.5kgm→25.5kgmへパワーアップ
・GTレースからフィードバックされた本格的な空力パーツ
・形状をこだわり抜いて開発したフロントシート
・本物のアルカンターラを使ったステアリング表皮
・これだけやっても価格はノーマル+36万7500円の285万750円!
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