立ち往生にはベテランの助言が飛ぶ!
参加者の皆さんも、最初にこのコースを見たとき、筆者と同じことを考えたと思う。しかし怯む人は一人もいなかった。なんとビギナーチームからも多くの希望者が出て、過酷な状況に挑んだのだ。
ランクルは重い自重を活かしてトラクション重視、軽いジムニーはタイヤの荷重確保のため、勢いなども利用しながら斜面に取り付き、乗り越え、下っていく。
もちろんすべてが順調というわけにはいかない。途中で立ち往生しまう人もいるのだが、そんな時は脇から見ている上級者の方から助言が飛ぶ。「ちょっと下がって右側から回り込んで!」「その石に右タイヤを載せましょう!」「アクセルをもっと優しく踏んでみて!」。
ある参加者は息子さんがイベントに申し込み、オフロード経験者のお父様が付き添いとして参加した。ランクル・プラドによる走行中は道路わきからお父様が身振り手振りで息子さんにアドバイスを授け、結局息子さんはコースを数ラップした。素晴らしい経験をされたと思った。
トーヨータイヤのキャップを見せたら入国OK?
午前中の走行が終わり、参加者がフードトラックのピザに舌鼓を打ったりした後は、緊張をほぐす足し物も催された。
まずはトークショー。編集長シオカワが司会を務め、オープンカントリーの開発を手がけた滝田広一さん(トーヨータイヤ技術開発本部)や三浦昂さんが、開発やレース参戦に関する貴重な話を披露した。
筆者が記憶に残ったのは、三浦さんの話。「トーヨーのドライバーとして初めてアメリカのラリーに出たとき、パスポートの履歴(※三浦さんはパリダカール参戦のためアフリカ滞在などが多かった)から入国審査で事情を聞かれた。その時にトーヨーのロゴの入ったキャップを見せて『このチームでラリーに出るんだ』と言ったら、『OK!』って開放されたんですよ」。まさにトーヨータイヤの北米での知名度を物語るエピソードだろう。
トークショーの後には、編集部の名コンビ「シオちゃん&キムちゃん」が参加者の愛車を巡り、好き勝手にコメントする練り歩きが行われた。さらにその後は同乗走行タイム。展示だけかと思った三浦選手のラリーマシンにもお子様対象の同乗走行が決定し、ジャンケンの結果玉水さんご家族の璃(りい)ちゃんが助手席に座った。
大人だって遠慮するような悪路を走り、不安もよぎったが、降りてきた璃ちゃんは満面の笑顔。「楽しかったー」と感想を述べてくれた。
14時からの最後の1時間は再び険しいコースに挑んだ。参加車両が増え、一部ルートはショートカットなどの措置も取られたが、すべてのランクル&ジムニーが、非日常の走りを味わえたと思う。
こうしてイベントは無事終了。筆者は人気のなくなったコースを見てこう思った。世界にはこのコースのような道を通らなくてはたどり着けない村や町がたくさんある。そんな場所での暮らしを支えるために、ランクルやジムニー、そしてオープンカントリーが、今この瞬間も泥や岩と戦っているかもしれない。そんな究極の経験が味わえるとは、なんて幸せなんだろうと。
多くの笑顔が目撃できたランジム2025。シオカワはすでに来年のプランを練っているはずだ。



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