ついに見つけた天然水素!! 日本にエネルギー革命が起こるかも? クラウンFCEVで本気の天然水素探し【後編】【PR】

温泉が水素社会の入り口になる

八方尾根開発は1960年に創業。白馬八方温泉は1986年に事業を開始
八方尾根開発は1960年に創業。白馬八方温泉は1986年に事業を開始

 八方尾根開発は、温泉の枠を越え、さらに遠い未来を見据えている。

「水素というと、これまでは産業用エネルギーという印象が強かったかもしれません 。でも、温泉として肌で直接触れ、心地よさを感じることは、水素を身近に感じるための最高の入り口になるはずです 」

 同社が経営するスキー場では、すでにリフトの電力をすべて再生可能エネルギーで賄っており、環境負荷の低いリゾート運営を実践している 。そして、水野氏はモビリティと水素の組み合わせに関しても強い期待を抱いている。

走行時は、空気と水のみを排出するクラウンFCEVのような存在は、空気が綺麗な白馬村にはピッタリな一台だと水野氏
走行時は、空気と水のみを排出するクラウンFCEVのような存在は、空気が綺麗な白馬村にはピッタリな一台だと水野氏

「クラウンFCEVのような水素を使って走るクルマは、白馬の大自然と非常に相性がいいと感じています。静粛性が高く、走行時に排出するのは空気と水のみという構造は、清浄な空気が資産であるこの地域の環境を壊しません 」

 実際のところ、クラウンFCEVには走行時のCO2排出量がゼロであるだけでなく、空気をよりきれいにして排出する機能も備わっており「走る空気清浄機」 とも言われている。

「トヨタさんがモータースポーツをはじめ、水素の可能性を広げている活動は素晴らしいです 。将来的には、白馬の天然水素がエネルギーとして活用され、FCEVをはじめとする地域のモビリティで使われるようになってほしい。そうして自然・観光・エネルギーが循環するモデル地域になることが私たちの夢です 」

地方から変わりゆく水素社会のリアル

イワタニ水素ステーション長野北長池で充鎮するクラウンFCEV
イワタニ水素ステーション長野北長池で充鎮するクラウンFCEV

 白馬八方温泉での調査を終え、旅の締めくくりに長野市にある県内唯一の水素ステーション、「イワタニ水素ステーション長野北長池」を訪ねた。ここは日本でも珍しい、「セルフサービス」の水素ステーションである。

15分程度の講習を受けることでセルフサービスが可能に
15分程度の講習を受けることでセルフサービスが可能に

 最初の一度だけ、15分ほどの講習を受講。すると次からは、ガソリンスタンドのように自らの手で水素を充填することが可能になる。

 イワタニ水素ステーション長野北長池で働く従業員の方の話によると、地方ではこのセルフ方式が採用されているケースが多くなっており、自分の手でエネルギーを注ぎ込むという主体的な動作が、水素を「自分の日常」へと引き寄せてくれる。

 天然水素探しの旅を終えて、静粛なクラウンFCEVで快適に帰路を駆け抜けながら、我に返る。白馬の美しき白銀の峰々は、この国がいつか「資源大国」と呼ばれる日の出を、静かに待っているように見えた。

天然水素の「夢」と「現実」を繋ぐ未知への挑戦

天然水素が新エネルギーになる。実用化に向けて着実に調査が進められている
天然水素が新エネルギーになる。実用化に向けて着実に調査が進められている

 水野氏に取材している際に出た「白馬村にはエネルギー開発に関わる企業が調査に訪れており、新エネルギーとしての研究も進んでいます」という言葉。天然水素が新エネルギーとして実用化される可能性についての現状に興味が湧いた。

 そこで後日、国のエネルギー安全保障とカーボンニュートラル実現を目指し、天然水素に関する情報収集を行っている独立行政法人「エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」に話を伺った 。

 白馬村にとどまらず世界に目を向けると、現在、西アフリカのマリ共和国では高純度の水素を燃焼させて村に電力を提供している例があり、これが世界で最も進んでいるプロジェクトだという 。一方で、「商業的に天然水素を生産・活用している企業はまだ世界に存在しません」と担当者は慎重な姿勢だ。

 白馬村の温泉に高純度の水素が含まれていることは事実だが、それを「エネルギー」として取り出すには、いくつもの高いハードルが立ちはだかっている。

水に溶け込んでいる天然水素をどのように取り出していくかも課題のひとつ
水に溶け込んでいる天然水素をどのように取り出していくかも課題のひとつ

 第一の課題は、経済性だ 。白馬村のケースでは、水素は水に溶け込んだ状態で存在しているため、そこからガスを分離するだけでもコストがかかる 。さらに、FCEVなどで利用できるグレードまで精製するには膨大な設備と費用が必要になる 。

 また、水素は非常に軽くリークしやすいという物質的な特徴も持っている 。石油や天然ガスの開発で培った既存の技術ノウハウを転用できる部分は大きいものの、既存のガスと同じ感覚で扱うわけにはいかない難しさがある 。

 日本のエネルギー自給率を劇的に変える「エネルギー革命」への期待は大きい。しかし、JOGMEC側は「まずは地下にどれほどのボリュームがあるのかという点も含め、着実に技術的検討を進めていくスタート地点にいる」と強調する 。

 一方で、明るい材料もある。地中の岩石が材料となって水素が生み出されるメカニズムは基本的には解明されており、日本国内にそうした条件が成立する場所がどれくらいあるのかといった基礎情報の積み上げが始まっている 。

 また、天然の水素を探すだけでなく、地中の岩石に人工的に水や熱を加えて生成させる「オレンジ水素」という選択肢も、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの別機関で研究が進められているという 。

天然水素のエネルギー活用は白馬村から数年後に始まるかもしれない
天然水素のエネルギー活用は白馬村から数年後に始まるかもしれない

「海外では天然水素を探す企業がプロジェクトを進めており、5年後に白馬村のように水素が自然に生成している場所で、小規模に生産して地元で活用するといった地域密着型のプロジェクトが生まれる可能性は決してゼロではありません」

 白馬の地で静かに湧き出す水素は、単なる温泉の成分を超え、日本のエネルギーの未来を占う試金石となろうとしている。夢物語で終わらせるか、現実的なインフラへと昇華させるか。その鍵は、地道な調査と技術の積み上げに握られている。

 焦らなくていい。天然水素の挑戦は、まだ始まったばかりなのだから。

次ページは : クラウン 特別仕様車 Z “THE 70th” 燃料電池車 主要スペック

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