憎きCOVID-19に春の行楽シーズンを丸々奪われたものの、ようやくドライブでも楽しもうという気持ちになってきた。
子供たちはそろそろ家族よりも友達と出かけるほうが楽しそうだが、ボクとしてはぜひとも家族そろって出かけたい。
そんなことを考えていた時、新型日産ルークス取材の機会を得た。なんでも新型は走行性能、広さ、使い勝手、安全性……要するに全方位的に「脱軽自動車レベル」に達したというではないか。
確かに近頃の軽自動車の進化には目を見張る。ただ、軽のレベルを脱したとまで言われたらこっちの期待値もグンと跳ね上がるというもの。
だってそれってファミリーカー、ファーストカーたり得るってことだ。OK。そういう目線でチェックしようじゃないの!
文:塩見 智/写真:平野 学【PR】
初出:『ベストカー』 2020年8月26日号
■視界も良好で運転しやすいコックピットに仕上げている
トップグレード、ハイウェイスターGターボプロパイロットエディションの運転席に乗り込み、ドライビングポジションを合わせる。
目線が高く安心感があるのはほかのスーパーハイトワゴンも同じだが、ルークスの場合、天井とダッシュボード、それに左右Aピラーに縁取られたフロントウィンドウ越しの長方形が上下左右にワイドだ。
ピラーによる死角も少なく視界良好。これなら誰でも運転しやすいはずだ。このクルマの充実した先進安全装備については後述するが、視界のよさは安全の基本。気分をよくしてエンジン始動!
軽自動車なので「ブルルン」という始動音および振動を予想していたのだが、実際には「ブルン」あるいは「プルン」と軽やかな音。走らせても3気筒エンジンなのに振動が少ない。
資料をめくって納得。液体封入エンジンマウントというぜいたくなパーツが使われているではないか。確かに軽自動車らしからぬ作りだ。
静かなくせにパワーは充分。最大トルク10.2kgmのターボエンジンは全域で力強く、エンジン音を唸らせることなく望む速度に達する。
振動の少なさは乗り心地のよさに直結するが、乗り心地がいい理由がほかにもある。変な揺れが少ないのだ。
全幅は軽自動車規格に対し、ほぼいっぱいの1475mm。それに対して全高は1780mmもある。どう考えても操舵したり、横風が当たったりすればグラリと揺れるはず。
人間はくるとわかっている揺れは不快に感じないが、不意の揺れや連続する揺れは不快。ルークスは背高なのだが背高感は希薄。
揺れないわけではないが、素直な揺れに終始し、揺れの絶対量も少ない。それでいて足回りが突っ張っていて、突き上げるような入力に悩まされることもない。
ダンパーの容量やスタビライザーの剛性を増やす一方、スプリングをソフトにし、絶妙な落としどころに設定したという。
試しに高速道路であえてやや急な車線変更をしたり、山道で大雑把なステアリング操作をしたりしてみたが、ルークスは広い心で受け入れてくれた気がした! 丁寧な操作をすればまさに脱軽自動車レベルの快適さだ。
室内をチェックする。同じ新世代のデイズ登場時にタッチパネルスイッチをはじめとしたインパネデザインの斬新さと質感の高さに驚いたが、ルークスも同様。
後席へ移動すべく運転席を降りて車両の下へ片足をサッと差し込むと自動的にスライドドアが開く。開口部は大きく、ほとんど身をかがめることなく乗り込むことができた。
リアシートに腰をかける。膝前には充分なスペースがあるが、なんとこれは一番前にある状態。
ここからスーーッと最大320mmも後ろへスライドできるのだ。楽々足を組めるどころか、実は足をピンと伸ばしてもフロントシートははるか彼方にあった。
もちろん車体寸法にかぎりがあるのでリアシートを後ろへスライドさせれば荷室容量は減る。ただリアシートは左右独立してスライドさせられる。荷物の量と乗車人数を考慮してアレンジ可能だ。加えて室内高は最大1400mm!
スーパーハイトワゴンの真骨頂だ。高さを生かしてリアシートを倒せば自転車だって積み込むことができる。
粗を探しているわけではないが、今のところ4人家族のファーストカーとして不満な部分はない。
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