■冬の高速道路もワインディングも安心感タップリ
今回の企画は、この“アイスガード7″を新型BRZに装着し、氷上ドライビングのメッカ女神湖に持ち込んでその真価を確かめようというのが趣旨。まずは音羽のベストカー編集部をスタートして、関越道佐久ICを経由して女神湖に向かうこととなった。
出発したのが夜8時過ぎだったから、関越道は交通量も少なく走りやすい状況。用意されたBRZはAT仕様でアイサイト装備。ACCを制限速度にセットしてお気楽なクルージングで距離を稼いでゆく。
こういうごく日常的なシチュエーションでは、いわゆる「冬タイヤ」に共通するマイルドな乗り味が支配的となる。もともとBRZが装着していたタイヤはミシュランPILOT SPORT 4で、けっこうハイグリップなスポーツ系タイヤ。シャシーは当然このタイヤを前提にセッティングされている。
こういうスポーツカーに平均的な「冬タイヤ」を履くと、シャシー側の速い動きにタイヤの反応が遅れがち。これが違和感につながるケースがままある。
その点、“アイスガード7″はかなり優等生といっていい。もちろん、ガツンと速いステア操作をすれば遅れは出る。
しかし、「後からドーン」と揺り返しが来るのではなく、反応がゆっくりになるだけで位相ズレが少ないのが好ましいのだ。高速を降りて信州の山道に入ると、走りっぷりはさらに「イイ感じ」になってくる。
夜も更けてきて外気温はマイナス2度くらい。ところどころに残雪があり、昼間溶けた雪が凍結したアイスパッチも存在するというシチュエーション。いよいよ、“アイスガード7″が本領を発揮する条件が整ってきた。
こういう路面をいわゆる「夏タイヤ」で飛ばすと、突然足元をすくわれるように姿勢を乱すことがあるが、“アイスガード7″はコントロール性が抜群。もちろん、アイスパッチに乗ればズルッとくるが、トランジェント領域がスムーズなので修正舵も余裕。何より、心理的な安心感が絶大なのがいい。
深夜のワインディングをエンジョイしつつ宿泊場所に到着したのは深夜11時。今夜は早く寝て、明日の氷上走行に備えることといたしました。
■氷上でもクリッピングポイントにつける超性能
明ければドピーカンの快晴。気温はマイナス5度ほどにキリッと冷えて、早朝の女神湖は最高の氷上走行日和でわれわれを迎えてくれた。ただでさえ、走りが楽しいFRのBRZ。そこに、いま手に入る最高レベルのアイスグリップを誇る“アイスガード7″の組み合わせだ。
これが面白くないはずがない。まずは、VSC、TRCなど、すべてのスタビリティ制御デバイスをオフ。滑りまくる後輪との格闘をひたすらエンジョイする。
本当を言うと、真面目にスタッドレスタイヤの限界性能を評価するなら、ABS作動時くらいの低いスリップ率で大人しくテストすべきなのだが、女神湖にFRスポーツを持ち込んでおいてソレは野暮というもの(編注:一度走り始めるともう楽しくてたまらないんです)。
BRZの後輪は常に滑りっぱなしで、女神湖のコースを横向きに滑ってゆく。正直に言って、これがめちゃめちゃ楽しい。ただ、こんな走らせ方をしていても、他車と乗り比べれば“アイスガード7″の実力が見えてくる。
FRだからテールを滑らせて向きを変えるのは容易だけれど、クリッピングポイントに着けるか否かは前輪のグリップ如何。リアが暴れていても、“アイスガード7″を履いたBRZは明らかにアンダーが少なく、アクセルワークに気をつけさえすれば確実にクリッピングポイントを捉えることができるのだ。
こういう氷上グリップの実力をブレーキング側に振り向ければ、ミラーバーンの交差点でもきっちり停止できるし、それが安心感につながる。普通のファミリードライバーにとって、“アイスガード7″は楽しいというより頼りになるタイヤなのだ。
つまり、優れたスタッドレスタイヤは、ガンガン滑らせてもヨシ、安全を優先して慎重に走ってもヨシ、ということ。BRZを滑らせてただ遊んでいただけではなく、“アイスガード7″の進化と真価について、われわれもちゃんと考えていたのでございますよ、ほんと。
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