日産「ノート」のフルモデルチェンジから1年と3カ月。ノートをベースとする派生車が続々と登場した。なかでも、日産直系のカスタマイズカーのメーカーである「ノートAUTECH」と「ノートAUTECHクロスオーバー」の2台は、高い質感を持ちあわせている割には価格がリーズナブルで、大好評を得ているようだ。
新型ノート躍進の立役者になったとも考えられる、2台のAUTECH車について、それぞれの強みとはどこにあるのか。最新情報を元に分析してみよう。
文/吉川賢一
写真/ベストカーWeb編集部、NISSAN【PR】
■「湘南ブルー」が特徴のオーテック車
神奈川県の茅ヶ崎市に本社を構える「株式会社オーテックジャパン」。2022年4月1日より、NISMOとの経営統合により新会社「日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社」へと生まれ変わる。
オーテックが展開するカスタムカーといえば、湘南地域の海の青さを表現した、通称「湘南ブルー」のボディカラーが有名だ。だがオーテック担当者によると、「湘南ブルー」には特定の指定カラーがあるわけではなく、個々のベース車に合わせて、調色しているという。
例えば、ノートAUTECH、ノートAUTECHクロスオーバーに採用されたのは「オーロラフレアブルーパール」、キックスAUTECHには「ダークブルー(パールメタリック)」、セレナAUTECHには「カスピアンブルー(メタリック)」、といった具合だ。
また、こちらもオーテック車の特徴である、バンパー下に付くのシルバーラインは、海の波打ち際の「さざ波」をイメージしているそうで、オーテック車が共通して持つアイデンティティとなる。また、ギラギラなメッキ調塗装でなく、メタル調塗装としているのには、光の反射具合がよく、シルバーをより強調できるからだという。
オーテック車は、やはり「湘南ブルー」に惹かれて購入される方が多いようで、ノートAUTECHでは全体の52%、ノートAUTECHクロスオーバーでは全体の39%が、ブルーを選んでいるそうだ(※単色に加え、ブラックルーフの2トーンを含む)。
だが裏を返せば、それ以外の方は、湘南ブルーだけに縛られず、パールホワイトなどそのほかのカラーリングで楽しんでいる、ということでもあり、「湘南ブルー」だけがオーテック車の魅力ではないこともよくわかる。
■若々しくアクティブなイメージの「ノートAUTECH」
ノートシリーズの累計販売台数の約9%を占めるという、ノートAUTECH。この手のカスタマイズカーとしては、9%は異例ともいえる割合だ。このノートAUTECHへ乗り換える方は、先々代、先代のノートから乗り変えるユーザーだけでなく、上級車からのダウンサイザーも多いそうだ。
ベースのノートよりも、はるかに上級移行したモデルだけに、人とは違った質感を求めるユーザーには、ノートAUTECHは魅力的なモデルなのだろう。また、日産車以外からノートAUTECHを購入する方も30%もいるそうだ。他メーカーからの取り込みを達成できるノートAUTECHは、日産のシェアアップに貢献している。
ノートAUTECHとノートAUTECHクロスオーバーの2台は、オーテックならではの上質感のあるインテリアが特長だ。シート地とステアリングが、ノートAUTECHはブルーとブラックのコンビ、ノートAUTECHクロスオーバーがブラックとなっており、シート地自体が専用品となっている。
専用シート、ドアの内張り、センターコンソール、インパネ、専用本革ステアリングなどに青い刺繍が入り、インパネにはブルーの木目調「紫檀(シタン)」柄の塗装が施され、コーディネートセンスが抜群。
ノートオーラが、落ち着いた大人の雰囲気の上質感だとするならば、AUTECHは、お洒落でアクティブな若々しさを持った上質感、といったところだろうか。
なかでも筆者のお気に入りは、シートの肌触りと座り心地のよさだ。表面はソフトだが、しっかりとクッションが撓んだ先で身体をしっかりサポートしてくれる、あの座り心地は極上だ。
また、運転席から見える範囲のインテリアに使われている素材のクオリティが高いため、ワンランク以上、上級車に乗っているような印象を受ける。数あるコンパクトカーの中でも、ノートAUTECHのインテリアの造り込みはお見事といっていいだろう。
ノートAUTECHの走りに関わる足回りは、ベースのノートと同じだという。シャシー設計・実験担当エンジニアの高沢仁氏によると、ベースのノートのポテンシャルが高いため、オーテックではあえて手を入れなかったそう。
ちなみにこの高沢氏は、日産の実験部出身の「凄腕」テストドライバーであり、新車プロジェクト開発や先行開発に携わってきた経歴を持っている。手を抜いたわけではなく、最初からイメージどおりの操安乗り心地性能だった、ということだろう。
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