愛車をカスタムすることで、愛着はさらに増すことになる。ただカスタムするうえで、高級ドレスアッパーやプレミアムスポーツであれば、デザインがいいだけでなく、より特別であることを求めるようになる傾向がある。
そんなこだわりを持つオーナーの愛車の足元を飾るために生み出された、洗練されたデザインと、さまざまな要望を受け止める幅広い選択肢を備えたウェッズのトップブランドが『Kranze(クレンツェ)』だ。
今回紹介するのは、そんな『Kranze(クレンツェ)』の2023年の新作デザイン『Schritt(シュリット)』。ウェッズのこだわりが生み出した、その新作を紹介したい。
文/ベストカーWeb編集部
写真/weds、編集部
■ひと筋縄ではいかないホイールデザイン
2023年モデルの『Schritt(シュリット)』。ドイツ語で、「歩み・一歩・歩幅・段差」などという意味を持つ。デザインのコンセプトはその名のとおり“段差”であり、クレンツェ的な三次元曲面ではなく、あえて境界を明確にし、段差を強調している。
このクレンツェでは、1997年の「Mesh」以来、26年ぶりに8分割デザインを採用したが、デザイナーである商品企画部の中村氏によると、そのデザインに行き着くまでにはかなりの苦労があったという。
「クレンツェをデザインするにあたり、最初は漠然とメッシュかな? という感じでデザインをスタートさせました。8本スポークがいいなとデザインを考えていましたが、5つ穴ホイールでは広い箇所と狭い箇所が生まれるので、そこをいかに違和感ないデザインにするか、非常に頭を悩ませました。じつはこの工程に、3週間くらいかかりました……」
中村氏は、この違和感を解消するためにセンター部にひし形のアクセントを設け、全体の統一感を出したという。
さらにこのホイールでは、2022年モデルのクレンツェではデザインの問題で設定できなかったデザインクロームを、お客さんからの要望が非常に多いことを受けて、絶対に設定しなければならないという命題もあった。
「デザインクロームを設定するうえで、メッキ処理が問題なくできる形状であることが重要でした。メッキ屋さんと密に連絡を取り、ピン角をなくすようしたり、段差を設けたりしながらも、つまらないデザインにならないように注意を払いました。とはいえ、今回のデザインは思ったよりも複雑になったため、メッキの治具も特殊なものを用意しましたし、簡単ではなかったんです」
さらにメッキ処理だけでなく、磨きが必要な部分がうまく加工できるように、デザインで段差を付けることが必要になった。この段差を付けないと面をすべて磨くことになるが、そうするとデザインが凡庸になってしまうという問題があった。そこで、磨き屋さんと議論を重ねた結果、この構造に落ち着いたという。
そのこだわりが結実したクレンツェのデザインクロームは、デザインとの相乗効果で、これまでにない高級感と存在感を放っている。
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