■PHEVでも充電に意味アリ!? 燃費も24km/Lをマーク
ちなみに今回のテストで、PAに設置されている急速充電器を利用して車載バッテリーのチャージを行なってみた。途中、BEVがやって来たので、充電器を譲るため20分ほどで切り上げたのだが、それでもバッテリーのSOCは20%→80%あたりまで上昇してくれた。この充電で50㎞ほどEV航続距離を稼いだことになる。
もちろん、理想的な使い方としては、自宅で一晩かけて満充電にしておき、ウィークデイは近距離ドライブを100%EVで走るのがオススメである。
だが時間に余裕があれば長距離ドライブ時に急速充電器を利用するのも悪くない。実際、この充電でEV走行の割合が増えた往路は、燃費計の数字は24㎞/Lあたりをキープ。CO2排出量削減には、こういう小マメな充電もアリということですね。
■アクセル全開で性格激変!? 内燃機関の良さも健在
一方、実はCX-60PHEVはちょっとした「ジキルとハイド」で、アクセルを深く踏み込むとガラっと性格が一変するのだ。2.5Lエンジンの188ps/25.5kgmに加えて、モーターが175ps/27.5㎏m。システム総合の最高出力は単純足し算にはならず、323ps/51.0kgmとなる。
Sportモードの選択とともにアクセル全開でこのパワーをイッキに解放すると、先ほどまでの環境性能の優等生といったイメージとはまったく異なるワイルドなキャラが姿を現わす。
エンジン回転の上昇とともにスポーティなサウンドが高まり、リニアなトルクカーブがトップエンドまで伸びてゆく。トルコンレス8速ATがシフトアップするたびに繰り返されるその加速フィールは「いかにも内燃機関」という趣で、EV走行時とは対極にある「エンジンの鼓動」を感じさせてくれるのだ。
走り方によって豹変するこのキャラクターの変化は、ほとんど「一台で二度美味しい」といってもいいレベル。
単なるエコカーではなく、走りの楽しさにしっかりこだわるマツダらしいPHEVに仕上がっているのが、CX-60PHEVの魅力と言えるんじゃないかな。
■アウトドアだけじゃない!! 災害時にも大活躍のワケ
17.8kWhの大容量バッテリーを搭載するCX-60PHEVは、車外への給電も普通のエンジン車よりはるかに余裕がある。ラゲッジのAC100Vコンセントから、1500Wまでの家電が利用できるのだ。
今回の取材では電気ポットや電子レンジを使ってお手軽な野外ランチを試してみたのだが、これについては何の問題もなく普通に利用可能。キャンプなどのアウトドアには、ぴったりの機能である。ちなみにセンターコンソール後部に設置されているコンセントはスマホの充電などが可能となる。
また、今回は試せなかったが、CX-60PHEVは所定の外部給電器を使うことで、家庭用の電力を供給する「V2H」機能も備えているのだ。ガソリンさえあれば最大で一般家庭使用電力量約9.1日分の電力を賄えるため、災害時には心強い機能と言えるだろう。
■既存モデルと全然違う!! FRらしさ満点のデザインが超魅力
近年のマツダ車はデザインへのこだわりが強い。クォリティを感じさせるそのスタイリングは、実際にプレス技術や金型製作にかなりのコストを割いて実現したもの。この「美」はタダで手に入るものではないのだ。もちろん、CX-60も妥協を許さぬスタイリングが大きな魅力となっている。
基調となっているのは、言わずと知れた「魂動デザイン」だ。五角形のグリルを配したファミリーフェイスや、キャラクターラインを使わず「面で見せる」サイドラインなどは最近のマツダ車に共通するデザイン手法だが、このCX-60だけの特徴として、FRならではのプロポーションがアピールポイントとなっている。
縦置きエンジンを収める長いボンネット。それに押されて後退したAピラーからキャビン周りにかけてのゆったりした造形……。「魂動」というデザインランゲージは同じでも、クルマ全体から受ける印象CX-60独自の個性を強く主張している。
走ってくるCX-60は、まず特徴的なフロントマスクでひと目でマツダ車と認識され、目の前を通り過ぎる時にはこれまでの横置きFFシリーズとはまったく異なるプロポーションが目に焼きつき、そして遠ざかってゆく。静ではなく動で鮮烈な印象を残す、ダイナミックなスタイリングと言えるだろう。
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