■トレッドもサイドもたまらん!! 見た目も完全に当時と同じ
ロケ地は、まさに「イニシャルD」に登場する“聖地”のひとつである表筑波スカイライン。
おあつらえ向きの舞台で改めて眺めた、「ADVAN HF Type D」を履いた自分のハチロク、本当によく似合っているなと嬉しい気持ちになった。
スクウェアなショルダーのプロファイル、やや丸みを帯びたサイドウォールは、まさに当時を忠実に再現したもの。大書きされた「ADVAN HF Type D」のロゴが何とも誇らしい。
何より特徴的なのが、そのトレッド。アウト側のセミスリック部分にディンプルを配し、イン側に太いグルーブを切ったこのデザインこそ、まさに当時羨望の眼差しで見ていたものだ。
ちなみに「Type D」の「D」は“Dimple”が由来だそうである。
普段、クルマを停める時にはステアリングは直進状態にしている。けれど……このタイヤを履くとどうしても、左右どちらかに少し切って、このトレッドデザインを眺めたくなってしまう。
装着サイズは195/50R15。当時を知る人にしてみれば、これでも大径でワイドだと思うだろうが、イマドキのハチロクではホイール選択肢も多い“普通の”サイズである。
適度に張り出したオフセットと、印象的なデザイン、ロゴ。まさにハチロクらしい雰囲気がイイ。
嬉しいことに「ADVAN HF Type D」はハチロクの純正サイズである185/60R14や、185/70R13も設定されている。純正派の人にとってもいいチョイスになるはずだ。
■コーナーが超気持ちいい!! AE86の醍醐味をフルに引き出すタイヤ
では走りはどうだろう? ワインディングロードに出ていくつかのコーナーを抜けるうちに込み上げてきたのは、昔を思い出すような不思議な感覚だった。
グリップ限界は際立って高いわけではないが、手応えは、まさにスポーツタイヤのそれ。
操舵していって旋回グリップが立ち上がってくる辺りの曖昧さの無いカチッとした感触は、ショルダー剛性の高さを感じさせるし、コーナリング中もヨレなどを感じさせることはなく、セミスリック部分が大きく寄与しているだろう強靭なブロック剛性を強く意識させる。
そしてコーナーからの立ち上がりでは、アクセルを踏み込むとリアからグッと押される感覚が頼もしく伝わってきた。高いグリップ力とケース剛性が生み出す縦方向の強いトラクションが、FRの走りの醍醐味をフルに引き出しているのだ。
実は表筑波スカイラインは、聖地となる以前からの馴染みの道である。
そんな舞台で試した「ADVAN HF Type D」は、まさにストリート用として適度なグリップ力とスポーツタイヤらしい手応えのバランスが良く、それがクルマとの対話感あるいは一体感に繋がっていた。
絶対的な速さが欲しいなら選択肢は他にもある。操る楽しさが欲しいからこそのハチロクだ、「ADVAN HF Type D」はそんな旨味を引き出すための、まさにベストチョイス。年月を経て、ようやく履けるようになったADVANとは、きっと長い付き合いになるだろう。
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