天然ガス直噴ディーゼル搭載のボルボFH参入! 大型LNGトラック実証運行事業が新たなステージへ!!

ボルボLNG直噴ディーゼルエンジンを搭載

FHガスパワードが搭載するG13型LNG直噴ディーゼルエンジン。火種となる軽油と、本燃料のLNGの二つの燃料噴射系を備えるのが特徴。この燃料噴射技術自体はウェストポート・フュエル・システムズが開発したもので、ボルボが初めて製品化した。写真は旧バージョンのG13C(写真:フルロード編集部)
FHガスパワードが搭載するG13型LNG直噴ディーゼルエンジン。火種となる軽油と、本燃料のLNGの二つの燃料噴射系を備えるのが特徴。この燃料噴射技術自体はウェストポート・フュエル・システムズが開発したもので、ボルボが初めて製品化した。写真は旧バージョンのG13C(写真:フルロード編集部)

 ボルボFHガスパワードの特徴が、「LNGをディーゼルサイクル(圧縮着火)で燃焼するエンジン」を搭載していることだ。このエンジンによってFHガスパワードは、同クラスの通常型LNG車に対して、10~25%も優れた燃費性能を実現する。LNG満タン(重量換算205kg)での航続距離は800~900kmとしている。

 LNGは液体化しているとはいえ、あくまでも天然ガスなので、物性上はディーゼルサイクルに適さない燃料とされる。そのため大半のLNGエンジンは、ガソリン車やCNG車と同様のオットーサイクル(火花点火)を使うのが定石で、排ガス浄化もしやすい。そのかわり圧縮比を高くできないため、熱効率がディーゼルより低く、航続性能で劣ることになる。

 それに対して、ボルボFHガスパワードが搭載する「G13型エンジン」は、火種として微量の軽油をシリンダ内へ直接噴射して圧縮着火、そこへLNGを噴射してメインの燃焼を行うという、特殊な燃料噴射技術を導入した。これは、カナダのエンジニアリング企業ウェストポート・フュエル・システムズとボルボが共同開発したもので、2017年から欧州市場に投入されており、すでに6000台以上を販売している。

 実証運行車は、G13型の最新バージョンである「G13S」を搭載する。G13Sは、排気量12.8リッター・圧縮比17.0の直列6気筒エンジンで、動力性能は最高出力460PS/1404~1700rpm・最大トルク2300Nm/945~1404rpm(欧州仕様)と、ベースのディーゼルエンジン(D13K)と同等だ。NOx低減にはディーゼルと同じく尿素SCRを採用し、欧州最新の排出ガス規制・Euro-6ステップEに適合している。

エンジンルームの後方上部には、タンクからLNGを汲み上げるための油圧ポンプとその作動油を収めたユニットを配置している
エンジンルームの後方上部には、タンクからLNGを汲み上げるための油圧ポンプとその作動油を収めたユニットを配置している

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