日本フルハーフの「プレミアムフルハーフコート(以下フルハーフコート)は、酸化還元反応を利用したハイブリッド触媒というもので、圧倒的な消臭、抗菌、抗ウイルス、有害物質分解の効果があり、トラックの庫内に一度スプレーガンで塗布しておくと、7年以上、何もしなくとも効果が持続するというものである、というのが前回お伝えした日本フルハーフの主張であった。
しかしながら、そんな科学的な言説を用いて煙に巻こうったって、そう易々とは信じないぞ、というのが当方の立場である。
そこで実際にフルハーフコートを使用しているユーザーさんに話を聞いてみようじゃないか、そこで白黒つけようじゃないかということになったのだが、果しての結果は……?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
*2024年12月発行「フルロード」第55号より
食肉を扱うハンコウが太鼓判 本当に臭いがしない!
まず最初にお話を聞いたのは、大阪市大正区で食肉・食品卸を中心に運送全般を担っているハンコウ(株)の五十嵐政勝会長だ。創業は1961年で、当初は鋼材を扱っていたので、大阪の「阪」に鋼材の「鋼」を取ってハンコウという社名になったのだとか。保有車両は現在21台。うち4台が中型で、残りはすべて小型である。
早速、気になる「臭い」の話を聞いてみた。
「私どもでは主に冷凍車で豚の内臓を運んでいるのですが、なにしろ臭いがキツい。そこで消臭できる用品やら装置やら、ずっと探していたのですが、あまり効果がない。強力な消臭スプレーとかオゾン脱臭機とか、結構いい値段がするのですが、その日はいっとき臭いが消えますが、翌日になると元に戻ってしまう。
もちろん、毎日庫内を高圧洗浄していますよ、それでも臭いは取れない。何をしても駄目なので、ほとんどあきらめかけていたのですが、2年ほど前、フルハーフさんから『こんな商品ができました』ということで、フルハーフコートを勧められました。
これまでの経験が経験だから、初めは胡散臭いと思いましたよ(笑)。ちょこっと庫内に塗ったくらいで臭いが取れるはずがない。でも、熱心に勧めてくれるので、まず中型車に施工してもらいました。
既存車だったので1日半くらいかけて完全に洗浄しましたが、フルハーフコート自体の施工は2時間くらいだったと思います。そうしたら本当に臭いがしないんですよ。
普段だったら、慣れている我々でもリアドアを開けたときに『ウッ!』っていうくらい臭いがするのに、それがほとんどしない。これは良い商品だと思いました。引き続き小型の新車にも施工してもらいました。
今までは、帰庫したクルマは2~3時間かけてデッキブラシを使って徹底的に洗浄していましたが、施工したクルマは高圧洗浄で洗い流すだけなので、せいぜい30分程度。洗浄はドライバーさんがやっていますが、ずいぶんと楽になったと思います。
もう一つは、臭い移りしないので、帰り荷にいろいろな物を積めるようになりました、今は運送会社にとって厳しい時代なので、冷凍車で常温物を運ぶなどさまざまな荷物を積み合わせができるのは助かる。クルマの稼働率も上がるから、消臭ってトラックにとって意外と重要だと思います」。
「臭い」との長い戦いの末に巡りあった効果がある製品
続いて訪れたのは1980年創業の(株)丸カ運送だ。丸カの「カ」はカタカナの「カ」で、まるか運送と読む。今回は、丸カ運送の業務の中心地である大阪中央市場で取材させていただいた。お話を聞いたのは片伯部章代(かたかべゆきよ)代表取締役と大川哲也部長だ。
丸カ運送の仕事は、鮮魚など生鮮食料品の配送と量販店のセンターへの配送が半々ほど。18台の保有車両は4t車が5台、あとは3t車と2t車だ。今は1台のクルマを多様に使うことが求められているので、一般雑貨などドライカーゴも運べる冷凍ウイングの導入に力を入れているという。
大川部長によれば、これまでの「臭い」との戦いには長い歴史があったという。
「魚は朝一番に積むので、臭いが残っているとその後の仕事に支障をきたします。魚のぬめりの臭いはちょっとやそっとではなかなか取れない。トイレの洗剤とか芳香剤とかいろんなものを試して、ドライバーに頭を下げながらいろんなものを使ってくれと頼み込んでいました。
でも、芳香剤は臭いがキツくて逆効果になる。そのほかにもオゾンだったり塩素だったりアルコール、果ては怪しげな『塩』を売る詐欺まがいの商法にも引っかかるところでした(笑)。
結論として、臭いに関しては何をやっても無理やと思っていたのですが、2年ほど前、フルハーフさんが『これいいですよ』なんていって持ってきたわけですよ。いきなり臭いが取れますよと言われても、私からしたら正直いって『また始まったな』ぐらいにしか思わなかった。
でも、しつこかったですね(笑)。私は『嫌や、無理や』と言っていたのですが、これでもかこれでもかというくらい勧めてくる。根負けして新車を入れるときに、『勝手にせえよ、好きにしてくれ』といったのですが、考えてみれば、向こうはクルマの専門家だし、金属が腐食するようなダメージにはならんやろ。少しでも臭いが薄まれば御の字と思っていました。
しかし、使ってみたら本当にびっくりするくらい効果がありました。自分にしたら、『本当にこういうことってあるんだな』という感じでしたね、ドライバーに聞いても、確かに臭いが取れていると言います。ただ、フルハーフコートの効果は7年以上続くと言いますが、まだ2年目なのでそれは見極めたいですね」。
丸カ運送のフルハーフコート施工車は、ウイングボディの3.5tのパワーゲート付き冷凍冷蔵車で、どんな仕事や荷物にも対応できるよう、かなり奢った仕様だ。
「車両価格は高くなりますけど、いろいろな仕事を請けようとすると、やはりオールマイティな仕様にしておいたほうが効率がいい。それにできるだけ長持ちするクルマということを考えると、クルマに臭いが蓄積して買い替えなきゃならないというのは非常にもったいない。このクルマはステンレスを多用しているのですが、やはり臭いや錆に強くし、できるだけ長く効率的にクルマを使いたいと思っています」。
片伯部代表も続ける。
「運賃に転嫁するのはむずかしいけれど、やはり食べる物を運んでいるので、いつもピカピカで綺麗なトラックで運んで欲しいと思っています。スーパーとかに運んだ時、こんな汚いトラックで来てんのかってお客さんに思われたら嫌ですもん。
だからドライバーにはクルマはきれいにしてねと言っていますし、みんな守ってくれています。臭いがせず錆びないトラックなんてとてもいいでしょう。だから私はお金かけてもいいよって言うんですけどね、世間は逆で、『ちょっとでも安く』というのが普通なんでしょうが……」。
ちなみに丸カ運送では、今後新車を入れる際には極力フルハーフコートを施工する予定だという。