あのエヌビディアがトラック業界に!? 「無人トラック」の商用化へ業界初のパートナーシップ!

あのエヌビディアがトラック業界に!? 「無人トラック」の商用化へ業界初のパートナーシップ!

 世界的な「ドライバー不足」を背景に、無人で運行可能なトラックを量産化するべく、AI半導体のエヌビディアと自動運転システムのオーロラ、自動車部品のコンチネンタルが戦略的パートナーシップを結んだ。エヌビディア製のSoCとOSを組み込み、2027年にも数千台規模で無人トラックを展開する。

 また、エヌビディアはトヨタ自動車の次世代車両開発にも同社のSoC/OSが活用されることを明らかにし、自動運転技術の到来を契機に、自動車業界が最先端半導体の巨大市場に成長することを期待している。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Aurora Innovation Inc, Continental AG, AB Volvo

無人トラックを展開するための業界初のパートナーシップ

あのエヌビディアがトラック業界に!? 「無人トラック」の商用化へ業界初のパートナーシップ!
オーロラ、エヌビディア、コンチネンタルが無人で運転可能なトラックを大規模に展開するため提携を発表した

 2025年1月6日、世界最大のテクノロジー見本市・CESが開催される米国ラスベガスにおいて、自動車部品のコンチネンタル(Continental)、自動運転システムのオーロラ(Aurora)、AI半導体のエヌビディア(nVidia)は自動運転機能を備えた「無人トラック」を大規模に展開するための長期戦略パートナーシップを発表した。

 エヌビディア製の次世代SoC(複数の機能を一つのチップ上にまとめた半導体製品)「Drive Thor」と、同じく同社製の自動車用基本ソフト「Drive OS」を、オーロラの自動運転システム「オーロラ・ドライバー」に統合し、大型トラックによるSAEレベル4の自動運転を実現するハードウェアキットを2027年よりコンチネンタルが量産するという計画だ。

 オーロラの共同創業者でCEOのクリス・アームソン氏はプレスリリースにおいて次のように述べている。

「1台の無人トラックを運行することは記念碑的な意味を持ちます。それが数千台となると、私たちの生活は一変します。コンピューティング分野で市場をリードするエヌビディアとの提携により、弊社のエコシステムはさらに強固となり、安全で信頼できる無人トラックをお届けするという目標はより確実なものとなりました」。

 また、コンチネンタルの北米オートモーティブ事業社長兼CEOのアルナ・アナンド氏のコメントは次の通りだ。

「自動運転用のハードウェアを開発し、大規模に商用化・量産化するには、高度な専門性が必要です。オーロラおよびエヌビディアとの業界初のコラボレーションが実現したことは、無人で運行可能なトラックという最新技術の開発において、コンチネンタルが最前線にいるということを示しており、この技術によりビジネスに新たな価値をもたらします」。

 いっぽう、エヌビディアのオートモーティブ事業担当副社長、リシ・ダール氏は次のようにコメントしている。

「エヌビディアの『Drive Thor』プラットフォームに、オーロラの自動運転システム、そしてコンチネンタルの製造技術が組み合わされることで無人トラックという未来を形作ります。これにより道路はより安全になり、貨物輸送はさらに効率化されるでしょう」。

自動車はより安全で効率的に? エヌビディアも期待する自動運転技術

あのエヌビディアがトラック業界に!? 「無人トラック」の商用化へ業界初のパートナーシップ!
オーロラとコンチネンタルは1年前に提携を発表しているが、ここにAI業界の巨人・エヌビディアが加わった

 オーロラは「オーロラ・ドライバー」の最終的な製品検証のために、現在、自動運転トラックを公道で走らせている。米国の高速道路の巡航速度で安全な運行を可能にするというこのトラックには、強力なコンピューターとセンサー(レーダー、ライダー、カメラ)が搭載されている。

 データ処理のレイテンシ(遅延)がクリティカルな要件である自動運転技術では、車載コンピューターでデータを高速に処理するため、最新の半導体やAI(人工知能)技術が活用される。

 ルールベースのアプローチでは自動運転は実現不可能とするオーロラは「検証可能なAI」を開発している。AIは新しい運行領域にも急速に適応するほか、セーフティ・ケースを通じて検証可能であることは規制当局や一般社会からの受け入れを目指す上で不可欠だ。

 オーロラは無人トラックによるサービスを2025年4月にも米国テキサス州で開始する予定で、ハードウェア開発とその量産化を世界的な自動車部品メーカーであるコンチネンタルが担っている。

 コンチネンタルはさらに、プライマリー・システムとなるオーロラ・ドライバーに不具合が発生した場合に備えて、独立したセカンダリー・システムの開発も行なっている。

 量産化に先駆けてコンチネンタルは今後数カ月以内にプロトタイプの試験を開始し、エヌビディアの「Drive Thor」と「Drive OS」を組み込むのはその後の段階となる。

 完全版のハードウェアキットはオーロラのOEMパートナーに供給され(オーロラはボルボやPACCARなどのトラックメーカーと提携している)、その顧客のトラックに搭載されることになる。

 また、エヌビディアはCESのプレビューイベントにおいて、トヨタ自動車が同社のパートナーリストに加わったことも明らかにした。世界最大の自動車メーカーであるトヨタが、エヌビディアのSoC「DRIVE AGX Orin」を搭載し「Drive OS」で稼働する次世代車両を開発するという。

 AI向けの半導体で圧倒的な存在感を見せるエヌビディアだが、2026年(会計年度)にはオートモーティブ事業が50億ドル(約8000億円)に達すると見込んでおり、同社の創業者でCEOのジェンスン・フアン氏も次のように話し、期待を寄せている。

「自動運転という革命の到来により、AI・ロボティクス業界にとって自動車分野は一大産業になります。20年間にわたり自動車にコンピューティングを提供してきたエヌビディアは、安全に関する専門知識と、『CUDA AV』プラットフォームにより、数兆ドルという規模の自動車産業の変革を支援します」。

【画像ギャラリー】オーロラ・ドライバーを搭載する自動運転トラック(6枚)画像ギャラリー

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