「グリーン」VS「ブルー」!! 大型トラックの燃料に最適な水素はどっちだ?

「グリーン」VS「ブルー」!! 大型トラックの燃料に最適な水素はどっちだ?

 水素を燃料とする燃料電池電気自動車(FCEV)は「究極のエコカー」とも言われていた。近年、乗用車向けのFCEVはなかなか先が見通せない状況となっているが、トラック用燃料としての水素は着実に進展している。FCEVだけでなく、水素を燃焼する内燃機関(水素エンジン)も商用車の脱炭素化において有力な選択肢だ。

 その水素だが、製法によってCO2換算の温室効果ガス排出量が異なるため、名前に色を付けて区別される(実際に色が変わるわけではない)。

 スウェーデンの名門大学が自動車用水素のライフサイクルアセスメントを実施し、トラック燃料に最適な水素を明らかにした。研究は他の地域にも応用可能で、各国の意思決定の根拠として活用される可能性がある。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Chalmers University of Technology・Daimler Truck AG

「色」で区別される水素

「グリーン」VS「ブルー」!! 大型トラックの燃料に最適な水素はどっちだ?
水素は大型商用車の燃料として期待されている

 トラック用の次世代燃料として期待される水素だが、その製法によって環境への影響は大きく異なっている。これを可視化するため、無色透明の水素に対して次のような「色分け」がされている。

グレー:天然ガスの改質によって製造するもので、今日では最も一般的な製法
ブラウン&ブラック:石炭を原料に製造する水素で、CO2を大量に放出する(ブラックは石炭、ブラウンは褐炭)
ブルー:CO2キャプチャー技術によりグレー水素によるCO2排出を抑制したもの
グリーン:再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造
ターコイズ:天然ガスをメタン、水素、カーボンブラックに分解する方法。CO2は発生しない
ホワイト:採掘によって得られる天然水素
ゴールド:枯渇した油田などに生息する微生物の発酵により発生した水素で、排出量はCO2キャプチャー技術に依存する
パープル・ピンク・レッドなど:原子力エネルギーによる電気分解で製造

 今日、世界で生産される水素の60%は水蒸気メタン改質(SMR = Steam Methane Reforming)という方法で作られる「グレー水素」だ。この方法では原料として天然ガス(その主成分がメタン)を使う。また、約20%は石炭から製造される。

 この2つはいずれも化石燃料から製造するので、脱炭素化を進める効果はない。低排出と大量生産を両立する次世代の水素として特に有望視されているのがグリーン水素とブルー水素だが、環境負荷の低い水素は現状では供給量が少なく、課題も多い。

 グリーン水素は太陽光、風力、水力など再生可能エネルギーで水を電気分解して製造する。そのためにイリジウムやプラチナなどの貴金属を必要とし、コストが高い。

 天然ガスと水蒸気を高温で反応させることで得られる水素のうち、この過程で発生するCO2を回収・貯蔵した場合は、ブルー水素とみなされる。とはいえ、全てのCO2を回収することは技術的に不可能であり、原料となる天然ガスの主成分であるメタンはCO2より高い温室効果を持っているため、採掘・輸送中の漏出を考えるとライフサイクルでの排出量はゼロにはならない。

 ただし、ブルー水素の中でもバイオマスに由来するバイオメタンを原料とした場合、理論上はCO2排出量をマイナスとすることも可能だ。バイオメタン自体が再生可能燃料であるため、わざわざ水素に変換する必要があるのか、やはりライフサイクル全体での評価が必要となる。

 燃料に最適な次世代水素は、どの「色」なのか? スウェーデンの自然科学の名門、チャルマース工科大学がトラック用水素のライフサイクルアセスメントを実施している。

次ページは : トラックに適した利用方法は「グリーン水素」の地産地消

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