フランスの大手商用車メーカーでボルボグループに属するルノー・トラックスは電動バンの「Eテックトラフィック」を発表、欧州で10月より販売を開始する。このところルノーは商用車事業をルノー・トラックスに集約しており、EVだけでもカーゴバイクから大型トラクタまでラインナップしている。
Eテックトラフィックは車両総重量が3.07トンで積載量は約1トン。国内市場で言うと、トヨタ・ハイエースや日産・NV350(キャラバン)よりやや大きいサイズとなる。トラックメーカーのほか乗用車メーカーとも競合するクラスで、小型商用車の電動化を巡って競争が激しくなりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Renault Trucks
ルノー・トラックス、電動モデルレンジに新型の小型車商用車を追加
商用車の電動化にコミットしているフランスのルノー・トラックスは2023年9月12日、新たに新型の小型商用車を電動モデルレンジに追加すると発表した。2023年中にバッテリーEV(BEV)の「Eテックトラフィック」を欧州市場の中型バンセグメントに投入する。
これにより同社の完全電動商用車のモデルレンジは、GVW(車両総重量)650kgのカーゴバイクや積載1トンのパネルバンから、GCW(連結総重量)44トンの大型トラクタまでの各セグメントをカバーする、世界的に見ても非常に広範なものとなった。
ルノー・トラックスにとって低炭素輸送への移行は優先事項であり、都市や都市近郊の環境で運行する車両の電動化を推進している。車両の用途としては、宅配、店舗への集配送、ゴミ収集、建設現場への輸送など、都市周辺に多いほとんどの用途をカバーしている。
すなわち大型トラック・トラクタの「EテックT」(大型車)および「EテックC」(建設用大型車)、中型トラック(GVWは最大26トン)の「EテックD」「EテックDワイド」「EテックDワイドLEC」、小型車(GVW3.1/3.5トン)の「Eテックマスター」、電動カーゴバイク(GVW650kg)の「フリーゴン」、そして今回追加される「Eテックトラフィック」(GVW3.07トン)だ。
Eテックトラフィックは、積載量で言うと1トンクラスの電動中型バンになる。こうした小型商用車は伝統的に日本メーカーが得意とするところで、電動化を巡って競争が激しくなりそうだ。
なお、電動ではないルノー「トラフィック」は同社が1980年から製造するバンで(現行車は3代目)、同グループの「カングー」より大きく「マスター」より小さいクラス。バッジエンジニアリングにより提携先から別ブランドでも販売されている(日産「NV300」/「プリマスター」、三菱「エクスプレス」など)。
いずれも日本には導入されていないが、サイズ的にはトヨタ・ハイエースや日産・キャラバンよりやや大きい。見た目はミニバンだが、大きさは普通トラックといった感じの車両だ。ちなみに2022年のIAAトランスポーテーションでは電動コンセプトの「トラフィックEテック」が出展されていた。