伊藤園が業界初のEVボトルカーを導入! 茶殻リサイクルに貢献する軽量パネルを採用!

伊藤園が業界初のEVボトルカーを導入! 茶殻リサイクルに貢献する軽量パネルを採用!

 「お~いお茶」で知られる伊藤園は、カーボンニュートラルをはじめとする環境保護に積極的に取り組んでいる企業としても知られている。

 飲料製品を運ぶボトルカーに関しても、「低公害車」と呼ばれていた時代から積極的に導入してきたが、いよいよその決定版というべき低環境負荷車両が登場。業界初だというEVボトルカーとは、一体どんなクルマなのだろうか?

環境への配慮を最優先に掲げる伊藤園

今回伊藤園が導入する、いすゞエルフEVベースのボトルカー
今回伊藤園が導入する、いすゞエルフEVベースのボトルカー

 近年の地球温暖化による気候変動は世界的にも喫緊の課題になっているが、伊藤園においても環境への配慮を最優先に考え、マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の一つである「環境」で掲げる気候変動への対応として、2050年度までにカーボンニュートラルとする中長期環境目標を策定している。

 この中で、「全車両中の電動車使用比率を2030年度に50%とする」をKPI(重要業績評価指標)として定め、積極的に電動車の導入を推進していく方針を決定している。いっぽうで、飲料を積載する営業車「ボトルカー」に関しては、これまで充電施設や走行距離の問題から電動化が課題だった。

 今回伊藤園が導入するEVボトルカーは、今年3月に登場したいすゞ自動車の小型電気トラック「エルフEV」がベースとしている。使用する電力に関しても、再生可能エネルギー比率が100%である電力メニューを採用している。

 CO2を排出しないことはもとより、飲料製品などを積載する荷室のスライドドアやバックドアに茶殻をアップサイクルした「茶殻配合軽量パネル」を採用。軽量化が図られることで電費向上も期待できる車両だ。

 併せて、空容器積載スペースを荷室内に設置し、屋根昇降および高所作業をなくすことで社員の業務負荷軽減と働きやすさを向上させている。

 業界初のEVボトルカーとして2023年10月に第1号車両をCO2フリープランの営業拠点に導入し、2023年度内に東京地区の営業拠点に30台順次展開する計画である。

架装部分には茶殻配合軽量パネルを使用

伊藤園による茶殻リサイクルの取り組みの1つ「茶殻配合軽量パネル」の生産の流れ
伊藤園による茶殻リサイクルの取り組みの1つ「茶殻配合軽量パネル」の生産の流れ

 伊藤園では、飲料生産時に年間で約5万8000トンの茶殻を排出しているが、その全量がリサイクルに回されている。

 飼料や肥料に使われるのをはじめ、茶殻リサイクルシステムとして限りある資源の代替原料としても活用されており、建材や樹脂、紙など茶殻を原料の一部とする茶殻配合製品は多岐にわたっており、まだまだ可能性を秘めている。

 その1つが昨年6月に発表された岐阜プラスチック工業と伊藤園が共同開発した茶殻配合軽量パネルだ。

 これは岐阜プラスチックのハニカム樹脂パネルである「TECCELL(テクセル)」に、伊藤園の茶殻リサイクルシステムを活用し茶殻配合軽量パネルとしたものである。

 伊藤園のボトルカーの架装には、軽量化と強度確保のためアルミ材が多用されているが、この茶殻配合テクセルは、表面層に薄いアルミ材を接着したアルミ複合板で、アルミよりさらに軽く強度も充分なパネルとなっている。

 ボトルカーの荷室のスライドドアやバックドア、床材に茶殻配合テクセルを使用することで、従来車両(3トン車)に比べ最大110kgの軽量化を実現。さらにスライドドアやバックドアの扉も約1/3の力で開閉できるようになったという。

 今回のエルフEVのボトルカーにも、この茶殻配合テクセルが使用されているのだ。

次ページは : 茶殻配合軽量パネルを使用したEVボトルカーを積極採用

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