レベル4自動運転システムなどを開発しているT2は、佐川急便、セイノーホールディングスとともに、同社が開発した自動運転トラックを用いた公道実証を2024年10月〜2025年6月にかけて実施すると発表した。その取り組みとは?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/T2
実証実験のあらまし
日本のトラック業界では、持続可能な物流の実現に向けて、省人化に貢献できない自動運転化レベル3をスキップし、無人走行を可能にするレベル4自動運転トラックの実用化を目指した取り組みが始まっている。
完全自動運転であるレベル5の一歩手前のレベル4は、「特定の走行環境条件を満たす限定された領域における自動運転」とされ、一般道と隔絶された建設現場や私有地の構内輸送のほか、高速道路を主体とする幹線輸送などでの活用が見込まれてる。
今回T2、佐川急便、セイノーHDの3社が開始する公道実証は、2027年のに実用化予定のレベル4自動運転トラックによる幹線輸送の実現を目指したもので、東京~大阪間の東名高速道路、新東名高速道路、伊勢湾岸道、名神高速道路、新名神高速道路、京滋バイパスの高速・有料道路の一部区間を使用し自動運転の実証が行なわれる。
同実証では、実際に佐川急便、セイノーHDの荷物も積載され、実運用に近いかたちで公道実証することで、将来の事業化に向けた、知見の獲得や改善点の洗い出しが行なわれる見込みだ。
さらに3社は今後、この実証実験をきっかけに自動運転トラックによる幹線輸送実現に向けた協議会の設立も検討していくという。
代表者コメント
T2 代表取締役CEO 森本 成城
今回の実証は、2025年の事業開始に向けた重要なステップです。「日本の物流を共に支える」という大義に共感いただき、素晴らしいパートナーと共に自動運転技術を活用した未来の物流に向けたチャレンジができることを大変嬉しく思います。今後、セイノーHD・佐川急便と共に自動運転トラックでの幹線輸送実現に向けた協議会の設立を目指しておりますが、本取り組みを加速化させるべく、自動運転トラック幹線輸送に関わる幅広い業界の方々からの御賛同・御参画を切に願っております。
佐川急便 取締役 輸送ネットワーク・施設投資担当 枝川 和弘
物流業界においてドライバー不足により輸送能力が不足すると懸念されている中で、自動運転トラックは有力な輸送力確保手段と考えています。官民でのインフラ整備計画も進んできておりますので、実証実験による知見の獲得と社会からの認知が加わり、自動運転トラックによる輸送が早期に実現されることを期待しています。
セイノーホールディングス 執行役員 オープンイノベーション推進室室長 河合 秀治
当社では、2024年問題や環境問題等の社会課題に対し、オープン・パブリック・プラットフォームの概念のもと、中長期の経営方針として「Team Green Logistics」のスローガンを掲げ、ロジスティクス・貸切・特積みの3つの領域を中心として他社連携に取り組んでいます。このような中、T2さま・佐川急便さまと共に実証実験に挑めることは、持続可能な物流を実現し、お客さまの繁栄に貢献できると考えており、今般の連携を大変光栄に思います。