伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、13巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数320万部を突破した。
同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第13回目となる今回は、前回に続いて「ヤジキタ兄妹」の愛車を紹介。妹の北原望が駆るアルファロメオ 4Cはどんな姿で走るのか?
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■全身で主張するスポーティさ
現代において「アルファロメオ」は、官能的なスタイリングや走りが特徴のイタリアンブランドとして知られている。しかし、今でこそフィアット傘下にあるものの、実は戦前からモータースポーツで活躍していた歴史を持つスポーツカーブランドであり、フェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリ氏がアルファロメオのドライバーだったことから、「フェラーリの母」とも呼ばれた。
そんなアルファロメオのなかでも異質なスポーツモデルが、この「4C」だ。同ブランドとしては初の量産型ミッドシップモデルで、2013年に”小さなスーパーカー”として誕生。フィアットに買収されて以降、ここ20年ほど高級車志向のプレミアムブランドとして成り立ってきただけに、ライトウェイト2シータースポーツというのは意外なコンセプトであった。
フォルムは古きよき時代のスポーツモデルの再来といった感じで、曲面が巧みに用いられている。そのいっぽうで、LEDが多数盛り込まれた昆虫の複眼を彷彿させるヘッドライトや、ボンネット上に浮き出たV字型のライン、たおやかなリアフェンダーやその前方に開けられたエアインテークなど凝縮感満点で、迫力のある細部を備えているのは現代的だ。
やはり近年のアルファロメオといえば、どこか肉感的で艶っぽさや色っぽさなどの魅力を備えたスタイリングを特徴としてきた。しかしこの4Cは、同じように肉感的ではあるが、筋肉質で男性的なのだ。柔らかさより筋張った硬い筋肉のイメージで、ロー&ワイドで車高が低いこともあり、その全身でスポーティさを主張している。
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