伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、14巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数350万部を突破している。
同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第15回目となる今回は、GT3、718ケイマンに続く、『MFゴースト』3台目のポルシェにして、ポルシェのど真ん中、911カレラを紹介する。
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■伝統のメカニズムを受け継ぐベーシックモデル
1964年以来、8代ものモデルが誕生してきた、「ポルシェ」ブランドの象徴的モデルが911だ。「RRレイアウト(リアエンジン・リア駆動)」や「水平対向エンジン」、「丸型ヘッドライト」など伝統的なメカニズムやデザインを受け継いでおり、かつては「空冷式エンジン」なども同車の特徴であったが、排ガス規制の影響を受け、1998年の996型からは空冷エンジンへ変更されている。
その存在はカーマニアの間でも、王道かつ覇道と捉えられており、いつかは乗りたいと思う存在にして、手の届かない憧れの存在でもある。グレードやバリエーションも数多く設定されており、オープンモデルのカブリオレ系やタルガ系、4WDモデルのカレラ4系、ターボモデルのターボ系、ハイパフォーマンスモデルのGT3など、どのモデルも高い人気を誇る。
そんななか、2011年に誕生した991型は、先代となる997型から外観イメージはそれほど変更されておらず、さらに現行型となる992型も含めて、素人には見分けがつきにくいモデルでもある。996型でヘッドライトを涙型にしてファンの不評を買い、997型で丸型に戻したあたりからしても、いかに初代モデルのスタイリングの完成度が高かったかがわかるというものだ。
■操るのは前年度8位のニュージーランド人
この名車列伝の第1回で紹介したとおり、MFGにはポルシェ 911GT3が参戦している。操るのはディフェンディングチャンピオンの石神風神。マシンのポテンシャルとキャラクターの立ち位置的にはラスボス感のある存在で、それに対してベーシックな911であるカレラがどう相対するのか、ポルシェファンとしては気になるところであった。
作中で初めてしっかりとその姿が描かれたのは、ラウンド1「小田原パイクスピーク」の決勝レース中だ。予選結果は7位で、ポールポジションを獲得したGT3とフロントロースタートの718ケイマンには遅れをとったが、ランボルギーニ ウラカンや、フェラーリ 488GTBよりは前に出た。しかしレース中盤、追い上げてきたフェラーリ 488GTBにオーバーテイクされてしまう。
911カレラのドライバーはジャクソン・テイラー、27歳のニュージーランド人。ルックスは、濃い眉と鼻の上に貼っている鼻腔拡張テープが特徴の強面である。カーナンバーは「8」で、前年のMFGでも上位争いに加わっていた、なかなかの手練れと思われる。愛機のグレードはカレラGTSで、2014年に追加されたカレラSとGT3の間に位置するモデル。430馬力を発生する3.8Lエンジンを搭載している。
残念ながらテイラーの操る911は、作中で他車に追い抜かされるシーンが多いのだが、テイラーは客観的に分析する技に長けたドライバーのようで、ほかのマシンやドライバーを分析している。
ラウンド1でも、彼がMFGのなかでも特に優秀な3人のドライバーとして、ミハエル・ベッケンバウアー、赤羽海人、沢渡光輝の3人を挙げているが、この時はまだ片桐夏向の実力を認知していないのであった。
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