伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ新世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、16巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数400万部を突破している。
当連載では、作品内で繰り広げられるガソリン車のレース『MFG』で活躍するドライバーや、主人公・片桐夏向の周囲を取り巻く人々など、魅力あふれる登場人物たちの人となりを分析し、そのキャラクターや人物像を明らかにしていく。
今回は、MFGラウンド2「芦ノ湖GT」で解説を務めた池田竜次を紹介する(なお、姿は現さない)。かつてそのキャラクターの濃さで『頭文字D』の物語終盤を盛り上げた池田は、その後、僧侶の道をまっとうしたのか? 指導者として抜群の資質を持つ彼の現在についてレポートしよう。
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■3足のわらじを履く人格者
MFGラウンド1「小田原パイクスピーク」の決勝レースでは、ゲスト解説者として『頭文字D』のキャラクター、小柏カイが登場したが、同じくラウンド2「芦ノ湖GT」決勝でのゲスト解説者も、『頭文字D』のキャラクターであった池田竜次が登場する。
池田といえば、プロジェクトDの神奈川遠征第三ラウンドの「チーム・スパイラル」のリーダーだった人物で、愛車の日産 フェアレディZ( Z33型)を駆り、高橋啓介のマツダ RX-7と名勝負を繰り広げた。ドラビングテクニックが優れていたことはもちろん、時に説法のような走行論を語るのユニークなキャラであった。
小柏カイは元レーサー、そして現在はチーム監督という立場でのゲスト登場だったが、池田はどうか。実況担当の田中洋二の紹介では、地元小田原市の市議会議員でありながら、ゼロ・アカデミー主宰としてモータースポーツを通じて青少年の健全な育成を推進する活動に従事、さらに実家の寺の住職まで務めているという。
かつて現役の走り屋だった頃は、箱根で自警団のようなこともしていた池田(その結果、高橋涼介のRX-7と死神のGT-R(R32)とのバトルに足を突っ込むことになる)。彼ほどの人格者ともなれば、市議会議員になったというのは必然の理かもしれない。しかし団体の主宰や住職まで同時に務め上げるあたり、やはり並大抵の精神力ではない。