中国BYDが、またまたとんでもないクルマを公開した。同社の高級ブランド「デンツァ」から登場したZ9 がそれ。全長5mを優に超すボディはポルシェ・タイカンそっくり。さらにZ9 GTというモデルは同クロスツーリスモそっくりなのだ! しかもパワーは怒涛の965ps! これってポルシェへの挑戦状なの?
文:ベストカーWeb編集部/写真:BYD
最高出力965ps&最大トルク1150Nm!
BYDには本家のほか、「仰望(ヤンワン)」「方程豹(ファンツェンバオ)」といった別ブランドがあるが、同社とメルセデスが共同で作った「騰勢(デンツァ)」もその一つ。2024年にD9というアル/ヴェル級のミニバンを投入したが、その後メルセデスが手を引いてBYDの100%所有となった。
そのデンツァが発表したスポーツモデルが話題になっている。名前はZ9。見た目はポルシェ タイカンそっくり。さらに5ドア版シューティングブレークの「Z9 GT」というモデルもあり、こちらはタイカンのクロスツーリスモそっくりなのだ。
しかもこのZ9、とにかくデカい。全長が5.2m前後もあり、全幅も1990mmと超ワイド。ホイールベースにいたっては3125mmという長さだ。
パワーユニットはPHEVとBEVがあるのだが、どちらも怪力に変わりはない。最近の中国車はハイパワーが当たり前だが、それでも目を見張る数値だ。
まずPHEV版だが、2Lターボエンジンに前1基、後ろ2基のモーターを組み合わせており、3基を合わせたパワーは640kW(870ps)に達する。最大トルクも1035Nmと4桁台だ。
BEV版となると、そのパワーがより狂気じみたものになる。3基のモーターこそ同じだがパワーが高められ、3基の合計は710kW(965ps)、トルクは1150Nmに達する。それでいて容量100kWhのバッテリーは経済性もあり、航続距離は630kmを誇るという(※中国CLTC値)。
あきれる性能が600万円台から手に入る!
最新の中国車のご多聞に漏れず、Z9が最新の運転支援機能を備えていることはいうまでもない。4輪操舵も強烈で、最小回転半径はたったの4.62m、舵角15度の「カニ走り」や前輪を軸にコンパスのように回転できる機能も備えている。
スクリーンが10個もあったり、冷蔵庫が装備されたりとインテリアについても贅を尽くしたものなのだが、ここでまたテレビショッピングのような中国車のお約束が登場する。価格だ。
Z9のPHEV版のベースモデルは33万4800元、1元20円とすると669万6000円だ。Z9 GTのBEVを選んでも35万4800元、たったの709万6000円だ。965psが700万円! なんてことだ!!
実はこのZ9、地元中国以上にヨーロッパでの販売に主眼を置いたモデルらしい。内燃機関自動車の故郷である欧州で勝負するうえで、ブランド力や歴史で劣ると考えたBYDは、圧倒的な性能を驚くほど安価に実現し、代替しようと考えたのだろう。
現時点でこそ欧州は中国車に厳しいが、BYDのトルコやハンガリー工場が完成すれば、同社のクルマは域内生産の欧州車ということになる。その状況で、圧倒的なコスパがどんな波紋を呼び起こすのか。興味深い展開になりそうだ。
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