プロジェクトDの外報部長が辿り着いた仕事とは? 『MFゴースト』を彩る人物列伝16 上有史浩 編

プロジェクトDの外報部長が辿り着いた仕事とは? 『MFゴースト』を彩る人物列伝16 上有史浩 編

 伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ新世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、16巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数400万部を突破している。さらに最新刊となる17巻が6月6日に発売予定となっている。

 当連載では、作品内で繰り広げられるガソリン車のレース『MFG』で活躍するドライバーや、主人公・片桐夏向の周囲を取り巻く人々など、魅力あふれる登場人物たちの人となりを分析し、そのキャラクターや人物像を明らかにしていく。

 今回は、MFG統括本部長の地位につく上有史浩を紹介。『頭文字D』におけるプロジェクトDの外報部長が、その道を極めて辿り着いた仕事とはいったいどういったものなのか?

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一


■交渉役を長く務めた男が上り詰めた地位

 「史浩」、フルネームは「上有史浩」。一般の方からしたら「え!? あの人?」と思う名前だが(笑)、『頭文字D』読者にとってはお馴染みの名前である。「赤城レッドサンズ」、そしてその進化でもある「プロジェクトD」で渉外担当を務め(作中では「外報部長」と呼ばれていた)、対戦チームとの交渉役を一手に担っていた頼りになる男だ。言うなれば、“あちらの”上有さんと同じような役回りである。

 で、こちらの上有史浩は、『頭文字D』ではユーノス ロードスターを愛車としていたがバトルをするシーンは一度もなく(実は原作では苗字さえも登場していなかった)、読者にもよく知られたキャラクターでいながら、それほど思い入れのあるファンは多くなかったかもしれない。そんな史浩が、『MFゴースト』にも登場しているのだ。

 初めて登場したのは、第3話「カナタ出走まであと3日」。東京の六本木ヒルズにあるMFG本部に、相葉瞬からMFGエンジェルズ7番の名前を訪ねる電話があり、それを断ったオペレーターに対して「クレームか?」と尋ねているのが、中年になった史浩である。このオペレーターからは「上有本部長」と呼ばれており、ここで早くもMFG本部で部長職を務めていることがわかる。

 若かりし頃の史浩と比べると、妙に揃った感じだった(笑)あの髪型は、しっかり七三に整えられており、年相応に白髪混じりになっている。また、以前から目立っていた頬骨は現在も健在だが、顔や身体まわりを比較するとだいぶ肉づきがよくなったようで、スーツ姿からそれなりの中年オーラを漂わせているのは、物悲しくもあり、頼り甲斐があるようにも見える。

 ただ若い頃から人と人とを結ぶようなことをしていた彼が、全世界で視聴者数3000万人以上とも言われるMFGにおいて、統括本部長を務めるまでもなった。誰もがやりたい役割でもなく、また、やれる役割でもなかった交渉役を必死に続けていたことが、彼にとっては幸いしたのかもしれない。もちろん、彼にはこういう仕事が合っていたことは確かなのだろう。

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