2025年11月12日、参議院予算委員会で、日本の自動車産業にとって大変画期的な質疑・答弁が実施された。国民民主党・榛葉幹事長の質問に答えた片山さつき財務大臣が、日本の自動車関連税制について、これまでの日本政府の財務体制の中で指折りの「自動車ユーザーと自動車業界の事情をよく分かっている答弁」をしてくれたのだ。ぜひ広く知られるべき内容ではあるが、自動車専門メディアではあまり話題になっていないのと、内容を細かく報じているメディアが少ないので、ここで関連部分をノーカットでお届けしたい。
文:ベストカーWeb編集部、画像:参議院、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】自動車税制9種類9兆円の図解と質問する榛葉幹事長(3枚)画像ギャラリー「角を矯めて牛を殺してはいけませんから」(自動車関連諸税全般について)
本記事冒頭で紹介したとおり、2025年参議院予算委員会での、国民民主・榛葉議員の質問と、片山さつき財務大臣の答弁は、日本の自動車ユーザーと自動車産業にとって非常に画期的なものだった。つべこべ解説する前に、まずは以下に関連部分を全文文字起こししたので、ぜひ読んでほしい。
(ここから)
国民民主党榛葉賀津也議員(以下、榛葉議員):自動車の関連諸税について質問させていただきます。最近、大型ショッピングモールで電気自動車を売るようになったという報道がありました。もう電気自動車は電化製品と変わらなくなっていますね。大型テレビとか冷蔵庫と変わらなくなってきている。
しかし(日本では)クルマにだけ、9種類、9兆円の税金かかるんです。冷蔵庫を買っても、ヘリコプターを買っても消費税だけなのに、クルマを買うと9種類9兆円。事務方で結構です、この9種類、9兆円の中身を教えてください。
青木孝徳財務省主税局長:お答えします。委員がご指摘をされました、9種類、9兆円の数字でございますが、これは自動車の業界団体が説明資料で使っておる数字かと思います。その中身をご紹介させていただきますと、まず自動車重量税が約0.7兆円、自動車税・軽自動車税と環境性能割が約0.2兆円。自動車税の種別割が約1.5兆円。軽自動車税の種別割が約0.3兆円。石油ガス税が約0.008兆円、揮発油税が約2兆円、地方揮発油税が約0.2兆円、軽油引取税が約0.9兆円、自動車ガソリン等にかかります消費税が約3.2兆円であるというふうに認識しております。
榛葉議員:財務大臣、なぜこんなクルマから税金たくさん取るようになっているんですか。
片山さつき財務大臣(以下、片山大臣):あの、榛葉議員とわたくしがよく活動しております東海地域は、本当に自動車王国、自動車地域でございまして、もしも自動車産業に万が一のことでもあったら、一体どうやって経済構造が保たれるのかと思いながら日々活動しているわけでございますが、その自動車業界からも、よく同じことを言われます。
いろんな経緯の積み重ねによって、自動車重量税について特にご関心があると思われますけれども、道路の混雑や交通安全等、社会的費用がかかるだろうと言ったことも当初にありましたし、それから道路計画を作り出した頃には、その他の社会保障資本も含めて、道路資本の充実の要請も強いということで、昭和46年にこの自動車重量税ができて、その発想のもとは、原因者負担、受益者負担の観点であって、広く自動車の使用者に負担を求めたということでございまして、これだけではないんですよね。このたび、やはりわたくしも反省を込めて、獲れるところから獲っていた部分がないのかというと、そういう部分もなくはありませんが、今後、世界的な自動車の直面している荒波を考えますと、まさに各国の当局が取っているように、自国の基幹産業があってなんぼですからね。
このことに関しては、御党と、そして今日議論している皆様と、ご一緒の立場で、いくらわたくしども財務省が財政当局だとは言っても、やはり角を矯めて牛を殺してはいけませんから、ということで考えていける部分もあるのかなと、今お話を聞いていて思いました。




コメント
コメントの使い方地球環境負荷について説明すると、燃費が2倍違っても新しい車に乗り換えるより古い車を乗り続けた方が地球環境には優しい。
製造時負荷が膨大で、廃車後の産廃処理・処分に伴う負荷も相応にある。
これを走行時の負荷低減(主に燃費)で逆転するには、ケースバイケースだがおよそ50万キロは乗らないと話にならない。
この様な欺瞞に満ちた制度は即刻廃止し、本当に環境の事を考えるなら極力長く自動車を使うべきだ。
全文掲載に感謝します。
>ぜひ広く知られるべき内容ではあるが、自動車専門メディアではあまり話題になっていないのと、内容を細かく報じているメディアが少ない
その通りです。自動車産業に関わる私にとって、大臣の言葉は涙が出るほど熱い言葉です。憲政史上初めて国民目線で仕事をしてくれる政府が誕生したのではないかと期待しております。ぜひ自動車産業に関わる政治的情報も続報して頂けたら幸いです。
この類の質疑応答と中身の詳細は一般的にはなかなか知りえないと思われます。情報ありがとうです。(個人的には榛葉、片山のお二人に大いに期待しています)