テスラといえば、今春「モデル3」の受注台数が話題になった。印象に残っている人も多いことだろう。
また「モデルS」に関してはデリバリーが順調に進んでいるようで、最近とみに首都圏でよく見かけるようになった。
そして、そのモデルSと同じ基本コンポーネンツを用いたSUV版「モデルX」のデリバリー開始も近づいてきた。2017年前半から納車が始まると言われている本モデル、その実力をチェックしてみた。
文:岡本幸一郎
ベストカー2016年10月26日号
モデルXは“走るロボット”か!?
写真では大きさが掴みにくいかもしれないが、モデルXは全長5m超、全幅2m超とかなり大柄。中身はモデルSと共通性が高いのだが、いろいろ新しいものも与えられていて興味深い。
しかもモデルXを象徴する「ファルコンウイングドア」は、文字どおり鷹の翼のように開くのだから、インパクト満点だ。見た目だけでなく、乗り降りしやすい実用性も併せ持つ。
さらに、フロントのドアだってスゴイ! キーを持って近づくと自動的に運転席のドアが開いて、乗り込んでブレーキペダルを踏むと自動で閉じるようになっているのだ。
運転席からの景色も独特。やや高めのアイポイントによる見晴らしのよさに加えて、モデルXには前席乗員の頭上まで仕切りのないオールガラスパノラミックウィンドシールドが採用されていることも特徴だ。この絶大な開放感もまたモデルXならではである。
インパネには、モデルSで注目を集めた縦長の大画面ディスプレイがモデルXでも採用されている。
シートは5人乗り、6人乗り、7人乗りが選べるのだが、7人乗りでも2列目が独立した3座のシートとなるのも特徴的。こちらも見晴らしがよく開放的で座り心地は快適そのものだ。
3列目のスペースも思ったよりも広くて、小柄な女性や子どもならまったく問題なさそう。シートは左右独立して折りたたむこともできる。
試乗した「P90D」にオプションのルーディクラス(「馬鹿げた」の意味)モードを装着すると、システム出力は539ps、モータートルクは967Nm、0-100㎞/h加速は実に3.4秒とスーパースポーツなみ!
その上さらに同3.1秒の「P100D」も控えているからスゴイ。
車高は高めでもバッテリーをフロア下に敷き詰めているから重心は低い。おかげで走りはいたって安定しており、かつ俊敏。大きくて背の高いSUVという感覚ではない。回生ブレーキとモータートルクの連携で、タイトなワインディングもリズミカルに走っていける。
高速道路では、「オートパイロット」が役に立つ。ウインカーを操作すると自動的に車線変更してくれる「オートレーンチェンジ」の動作もいたって的確だ。
周囲の安全までクルマがしっかり確かめてくれるのだから疲れ知らずだ。渋滞路だってスイッチ操作だけでストレスなく先行車についていってくれるのもありがたい。
もちろん走っている間はCO2をいっさい排出しない。世界で唯一無二の“E-SUV”である。日本でのデリバリーが楽しみだ。
テスラ モデルX P90D 主要諸元
- 全長×全幅×全高:5020×2070×1680mm
- ホイールベース:2965mm
- 車両重量:2468kg
- 駆動方式:4WD
- 乗車定員:最大7名
- モーター出力:263ps(前)/510ps(後)
- システム出力:471ps
- 航続距離:約489km
- 車両本体価格:1381万円[税込み]
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