トヨタが発表したスーパースポーツ「GR GT」は革新の塊だが、透視図を見ていたら変なことに気付いた。エンジンのてっぺんから排気管が生えているのだ。おっさん世代にとってエンジンのエキマニはサイドからと相場が決まっている。いったいなんでこんなレイアウトなのよ?
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ自動車、本田技研
【画像ギャラリー】1000回ローンとかでも買いたいトヨタGR GTのお姿がこれ!(35枚)画像ギャラリーV型エンジンは外側のエキマニが美しかったのに……
完全アルミニウムの骨格やトランスアクスルなど、トヨタが発表したGR GTには見どころが満載だ。興味津々で透視図をみていたら、妙な違和感をおぼえた。エンジンの排気系が、側面ではなくてっぺんから延びているじゃないか。
ちなみにGR GTのパワーユニットは4LのV8ツインターボにシングルモーターを組み合わせたハイブリッド。透視図で気になったのはそのV8ツインターボの排気系の取り回しだ。
このエンジンでは、2基のターボチャージャーがVバンクの内側、Vの字の谷の部分に取り付けられている。そこから延びる排気管は直後でちょんまげのように曲がった触媒へと繋がり、ここで下方に曲げられて、床下へと伸びている。
昔からのクルマ好きにすれば、V型エンジンはVバンクの内側から吸気してVバンク外側へ排気すると相場が決まっていた。Vバンク外側には美しいエキゾーストマニホールド(通称:たこ足)が伸び、見事な造形を形作っていた。それなのにGR GTときたら……。
ホットVと呼ばれる最新レイアウトだった!
ところがこの話、筆者(ツノダ)のとんでもない時代錯誤だった(涙)。モータースポーツ好きに聞いてみたら、いまや高性能エンジンのVバンク内排気は当たり前だという。この形式を俗に「ホットV」と呼ぶのだそうだ。早くいってよ~。
なんでこのホットVがいいのか。理由はいろいろあるのだが、GR GTのようなスポーツカーにおける最大の理由は、ターボチャージャーを最短経路で配置できるため、ターボラグが最小限に抑えられる点だろう。
いっぽう市販車としては触媒がタービン直後に配置できるため、触媒を早く暖められて排ガス浄化が楽になること、Vバンク外側のスペースが補機類や足回りに活用できるといったメリットもある。
デメリットもないわけじゃない。高温になる排気管をVバンク内側に置くということは、熱対策が難しくなる(これがホットVの語源でもある)。このためホットVレイアウトを採用するには、エンジンへの導風や冷却設計が重要になるということだ。
ちなみにホットVレイアウトを世界で初めて採用した量販エンジンは、BMWが2008年に発表したN63型という4.4LツインターボのV8ユニット。このユニットはM5のほか、X5やX6などのハイパフォーマンスグレードにも搭載されたが、以降このレイアウトはマクラーレンやメルセデスにも飛び火し、高性能V型エンジンを象徴する構造となったのだ。
参考までに、モリゾウさんが代表を務めるルーキーレーシングがスーパー耐久に投入してきたメルセデスAMG GTのエンジンも、このホットVレイアウトを採用している。もちろんGR GTの技術的アプローチは異なるはずだが、意外な共通点ともいえそうだ。
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