ノートe-POWERが売れる「本当の」理由は日産への不満?

■ノートのライバルはフィットとアクアと……ノート??

 ノートの販売内訳を見ると約68%をe-POWERが占める。そこでライバル車もハイブリッド車で考えたい。

 一番の強敵はアクアだ。トヨタの全店(約4900店舗)が扱い、販売網は日産(約2100店舗)の2倍以上だから、発売から5年以上を経過した今でも好調に売れている。

 動力性能は両車ともに同程度だが、加速感はノートe-POWERが滑らかだ。

 ただしアクアの車両重量は売れ筋のSが1080kgだから、ノートe-POWER・Xの1210kgに比べて130kg軽い。全高を1455mmに抑えたことで重心も下がり、操舵感がダイレクトでスポーティに感じる。

 乗り心地は同程度。JC08モード燃費は、アクアが軽いボディを生かして主力グレードが37km/lと優秀だ。

 居住性は天井の高いノートe-POWERが勝る。特に後席の足元空間が広く、腰の落ち込まない着座姿勢で快適に座れる。

 価格はノートe-POWER・Xが195万9120円、アクアSは188万7055円だが、アクアでは緊急自動ブレーキを作動できる安全装備やスマートエントリーがオプションになる。

 これらを加えると、価格が逆転してノートe-POWERが8万円ほど割安だ。ノートe-POWERはボディが重く、カーブを曲がる時の安定性はいま一歩だが、居住性や価格まで含めるとアクアよりも買い得感が強い。

 フィットハイブリッドもライバル車。人気の高いコンパクトカーで、燃料タンクを前席の下に搭載するから荷室の床が低い。積載容量が大きく、後席をコンパクトに畳むとボックス状の荷室に変更できる。

 居住性も快適で、後席の足元空間はノートと同等だ。ボディサイズの割に居住性と積載性が優れている。

 燃費数値はノートe-POWERが勝るが、フィットは2017年6月下旬に規模の大きなマイナーチェンジを実施するので、燃費も改善される可能性が高い。

 安全装備も大幅に充実して、歩行者を検知したり道路標識を認識する機能が加わる。

 アクアは燃費と走りに特徴を持たせたが、フィットハイブリッドは居住性などを含めて機能のバランスが優れ、ノートe-POWERに性格が似ている。特に荷室を重視するユーザーには、フィットハイブリッドが最適だ。

 なおノートe-POWERのライバル車として、1.2Lのノーマルエンジン搭載車も挙げられる。ノートXの価格は149万5800円だから、e-POWER・Xに比べて46万3320円安いが、後者にはエアコンのオート機能なども装着されて差額は42万円に縮まる。

 さらにエコカー減税でも4万6700円の差が付き、e-POWER・Xとの最終的な実質差額は37万円だ。

 レギュラーガソリンの価格を1L当たり135円、実用燃費をJC08モードの85%で計算すると、ノートe-POWER・Xの1km当たりの走行コストは4.7円、ノートXは6.8円になる。差額は2.1円で、37万円の実質差額を取り戻すには17万kmの走行を要する。

 従って損得勘定ではノートXが有利だが、ノートe-POWER・Xは、動力性能/加速の滑らかさ/静粛性/車両重量の違いに基づく乗り心地/アクセルペダルだけで速度を調節できる独特の運転感覚などに優位性がある。この点を高く評価するならノートe-POWER・Xを推奨したい。

 そしてノートe-POWERのグレード構成は、S/X/メダリストの3種類。この内、Sはエアコンがオプションになり、緊急自動ブレーキを作動可能な安全装備は非設定だ。

 価格は安いが推奨できない。機能と価格のバランスで割安なのはXになる。
最上級のメダリストは、XにLEDヘッドランプ、アルミホイール、遮音性能の向上など、23万円相当の機能や装備を加えて価格上昇は28万5120円だ。

 割高ではあるが、静かで上質な運転感覚を求めるユーザーは、Xとメダリストを乗り比べて判断すると良いだろう。

ライバルはズバリフィットハイブリッドと、ノートのガソリンモデル。どちらもお買い得です
ライバルはズバリフィットハイブリッドと、ノートのガソリンモデル。どちらもお買い得です

なお、フィットのマイナーチェンジは2017年6月を予定。

 詳細記事は、「スイフト、ワゴンRの売り上げはどうなっている? ホンダのマイチェン情報が続々!!」をご参照ください

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