新型シビックタイプR 国内初試乗! FFニュル最速は新型でも最高だった!!

プラスRモードでもオトナになって大丈夫!?

 なんだかコンフォートモードのインプレッションでタイプRは軟派になったと感じたかもしれないが、伝家の宝刀「プラスR」モードがある。

 FK2でもこのモードに入れれば足回りはなかなかのガチガチ具合になり、編集部Sは締め切り明けなど疲れている時に乗るとうんざりするほど。

 新型でもきっと「プラスR」はそうなるはず、と思っていたがまた裏切られる。

 や、やわらけぇーー!! どうしたタイプR。君は赤バッジの意味をわかっているのか、ともいいたくなったのは事実だ。

 それくらいカルチャーショックを受けた。なんだかよくわからないけどものすごく手厚い抱擁感。自然と身を委ねたくなる安心感がある。

 脳天をシェイクされる覚悟を決めて後席に乗った編集部Tも唖然とする。「とても乗り心地がいい……、本当にこれがプラスRですか!?」。

 たしかにコンフォートモードから減衰力が変わり、足回りは締め上げられた。スロットルレスポンスも俊敏になった。

 でもFK2のプラスRモードと比較すると圧倒的に乗り心地がいいし、ジェントルだ。固さではなく、粘りで勝負する。それが新しいタイプRなのだろうか。

 2速のレッドゾーン近くまで回してコーナリングを試したが怖さはない。ギューッとタイヤが地面を捉えているのがよくわかる。

 さらにビックリな装備が「レブマッチングシステム」。日産がフェアレディZ(Z34)で採用した「シンクロレブコントロール」と同様、自動でヒール&トーをしてくれる装置。だからドライバーはブレーキに集中していればOKだ。

 アマチュアにはとっても有利な装備。ちなみにモード切替をすると、レブマッチングシステムの制御も変わり、ブリッピングも大きくなる。

 全体としてエンジン、足回りなどFK2のような「急造感」がない。それはそうだ、プラットフォーム開発からタイプRの設計を前提にしているのだから。

 後付け感満載のフェンダーや、ターボのトルクの出方にもチューニングカーのような雑味が少なからずあったFK2とは異なり、新型は完璧にすべてが調和した仕上がりになっている。

 きっとサーキットでプロドライバーが全力で攻めた際には不満も出るはずだ。しかしクルマ好きの代表として話をさせていただけるのなら、このクルマで不満を覚えるシーンは公道ではまずないと思う。

 750台限定だったFK2とは異なり、カタログモデルになる新型。

 ホンダの八郷隆弘社長もFK2の抽選に外れたひとりなので、新型はカタログモデルにしたとのこと。

 ちなみに担当編集SのFK2のシリアルナンバーは「0085(ハチゴー)」だから、どうしてもという場合はご連絡をお待ちしています。ぜひ八郷社長の意気込みを感じつつ、乗らず嫌いをせず試乗だけでもしてほしい。

どこまでも曲がっていくような感覚はFFであることを一瞬忘れるほど
どこまでも曲がっていくような感覚はFFであることを一瞬忘れるほど
シフトレバー左側に見えるのがモード切替ボタン。「コンフォート」→「スポーツ」→「プラスR」へと切り替わる
シフトレバー左側に見えるのがモード切替ボタン。「コンフォート」→「スポーツ」→「プラスR」へと切り替わる

ナゾのテスト車両。DCT採用でなんだかいいぞ!!

 タイプRの話に傾倒してしまったが、今後はほかのホンダのラインアップの乗り味にも大きな動きがあるかもしれない。というのもタイプRの試乗と同時におこなわれた「テスト車両」の試乗で、大きなインパクトを受けた。

 この開発車両の外観は9代目のシビックだが、市販車となにが違うかは秘密だそう。

 トルク感や過給音からエンジンは2Lクラスのターボのようだ。きっと中国向けSUVのアヴァンシア用あたりのエンジンだろう。

 そしてすぐ気付いたのがトランスミッションがCVTではないこと。そう、DCTを搭載しているのだった。段付きの演出ではなくしっかりした変速を感じる。

 DCTというとフィットハイブリッドのi-DCDを思い起こすが、根掘り葉掘り聞くと「アキュラに積んでいるものをですね……」とかなり小声で開発者が答えてくれた。

 アキュラというからには、アキュラILXなどに搭載される8速トルコン付きDCTだろう。小気味いい「コクッ」という変速ショックがいい。このスムーズな繋がりからトルコンが付いているのは間違いなさそう。

 シフトレバーを「S」にすると変速ショックは強くなる。そしてDCTらしくダイレクト変速でスパスパとギアが上がっていく。これは気持ちいいぞ。

 ステアリングにもなにかしらの「仕掛け」があるようだが、全体としてクルマ好きが好む味付けになっている。

 もちろんこのクルマが万人受けするとは思わないが、ひとつの選択肢としては大いに「あり」だと感じた。

 開発者からは「意のままに操る」というキーワードが出てきたり、なんだかマツダの「人馬一体」を少なからず意識しているのかとも感じた。

 とはいっても、そのような動きはクルマ業界としてはウェルカムのはず。タイプRのような尖ったクルマもいいのだが、ぜひノーマルモデルにもこのような楽しいクルマが出てくると「ホンダらしさ」の復権にもなるのではないだろうか。

ベールに包まれた開発車両。DCTの味付けはエンジンブレーキの効きも含めてクルマ好きにはたまらないものだった。どんなクルマにこの技術が応用されるのか、いまから楽しみだ
ベールに包まれた開発車両。DCTの味付けはエンジンブレーキの効きも含めてクルマ好きにはたまらないものだった。どんなクルマにこの技術が応用されるのか、いまから楽しみだ

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