スバルは今秋にも、WRX STIのチューニングバージョン「S208」(コンプリートカーとして限定発売)発表を予定している。
本企画ではその情報の詳細と、さらにその先にある強烈な「隠しダマ」の開発についてお伝えしたい。
文:ベストカー編集部
ベストカー2017年7月26日号
■330psでこの秋に登場するコンプリートカー
現在市販2Lエンジン最強はメルセデスベンツのAMG45系に搭載されるM133型ユニットで、ターボによって過給された最高出力は実に381ps。
最大トルクは48.4kgmを発揮する。2番手はボルボS60/V60ポールスターに搭載されるターボ+スーパーチャージャーエンジンで、こちらは367ps/47.9kgmというスペック。
日本車ではWRX STIをベースとしたSTIのコンプリートカーS207の328ps/44.0kgm、今夏登場予定の新型シビックタイプRが320psにパワーアップするといわれているが、それにしてもベンツ、ボルボの2L過給エンジンには及ばない。
2L過給エンジンといえば日本車のお家芸とも言える領域だ。ラリーを戦うランエボ vs インプレッサの激闘で磨きをかけてきた実績がある。
現在ワンツーをいくベンツ、ボルボともにカタログモデルとはいうものの、純粋な〝吊るし〟ではなく、それぞれAMG、ポールスターというメーカー直系ワークスの手によるチューニングで圧倒的なパフォーマンスを追求しているという点にも注目したい。
ここで立ち上がったのがスバルワークスのSTIだ。
ご存じ正式名称「スバル・テクニカ・インターナショナル」社はスバル直属のモータースポーツ部門で、モータースポーツ車両の開発とともに、そこから得たノウハウを投入した質の高いチューニングカー、コンプリートカーの開発、販売をしている。
前述のS207は現時点でSTIがリリースしたコンプリートカーの最新モデルだが、実は今秋にも「S208」が投入されることが確実視されている。
ここで少し、今秋登場予定のスバル「S208」について紹介しておきたい。
STIは定期的に、カタログモデルであるWRX STIのチューニングバージョンを発売している。直近では2015年に限定400台で発売された「S207」が印象的だ。
EJ20エンジンを手組みでリファインしてベース比20%アップの328psまで引き上げられ、足回りもフロントダンパーにビルシュタイン製ダンプマチックIIを早着、等長等爆エキゾーストや専用ECUを搭載し、発売日には即日完売するほどの人気ぶりだった。
2017年の秋(おそらく東京モーターショーに展示、発表)にお披露目される「S208」はこの進化版となる。
最高出力330ps/最大トルク44.0kgm、価格は600万〜650万円で、限定台数はS207の400台より100台少ない300台となりそう。
このS208はS207の正常進化版という位置付けで、エンジンスペックも大幅向上には至らず、2psアップの330ps程度にとどまるといわれている。
■設立30周年に向けて、着々と開発は進んでいるという
今回お伝えしたいのは、その「S208」に加えてさらなる隠しダマが用意されている、という情報だ。
これこそがタイトル通りの〝最強の座〟を狙う一台で、EJ20エンジンの許容限界いっぱいの最高出力360〜380ps、最大トルク48.5kgmを絞り出すという。
STIは来年4月に設立30周年を迎える。このメモリアルに技術の集大成とも言える究極のコンプリートカーを開発しているというのだ。
1998年にWRCタイトル獲得を記念して400台限定販売された「22B STiバージョン」の再来とも言えるスーパーバージョンとして開発されているという。
STIの歴史はEJ20エンジン進化の歴史と言っても過言ではない。EJ20のいいところも弱点も知り尽くしたSTIの開発ノウハウをすべて投入した究極のEJ20はまさに珠玉のエンジンといってもいいだろう。
もちろん、このパフォーマンスを受け止めるシャシーについても、ニュル24時間レースなどから得たSTIの知見をフルに投入する。
価格は700万円を超えると見られるが、それでも最強の価値ある1台となる。
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