「名門ミニバン」オデッセイの現状は?
現行である5代目モデルは、デビュー翌年に2014年は3万台以上を売り上げ、全盛期ほどの勢いはないものの、人気モデルとしての地位を奪還。
その後、いったんは落ち着くものの、2016年2月にハイブリッドモデルが登場すると、再び販売台数は回復。
2019年には、月間1000台規模まで落ち着いたが、2020年に入ってからも900台ペースを維持しており、多くはないものの、常に一定の需要があるクルマだ。
大きなヒットは望めないかもしれないが、今回のマイナーチェンジは充分な改良だと考えている。
かつて、存在したホンダの最上級ミニバン「エリシオン」がなき今、ホンダのミニバンのフラッグシップを担うクルマだけに、流行になっている「押し出しのある顔つき」にしたことは正解だ。
ただし、ホンダのフラッグシップミニバンとして、アルファード対抗とするならば、あと少し豪華絢爛さがあっても良いように感じる。
「ホンダのゴールドエンブレムをつけよ!」ということではないが、アルファードが支持される理由は、クルマのいたるところから、トヨタのフラッグシップミニバンとしての「威厳」が感じられるからではないだろうか。
オデッセイはアルファードのように成功の道を辿ることはできるのか?
初代、2代目と続いた、ミニバンらしくない「乗用車的プロポーション」は、オデッセイの最大の特徴であり、人気爆発の原動力であった。
3代目、4代目では「低床プラットフォーム」を採用し、乗員をしっかりと乗せられるだけの車内空間を維持した状態で、「1550ミリの立地駐車場にもギリギリ入る高さ」へ全高を収めた。このパッケージング技術には当時、自動車業界が震撼したのを覚えている。
そして5代目オデッセイは、その流れを断ち切り、全高1700mm程のミニバンとなった。全高を下げながらも室内の広さは犠牲にしないパッケージングへの執念と、技術者たちのスキルは素晴らしいと思う。
では、なぜアルファードに追いつけないのか。その理由はやはり「全高の低さ」にあるように思う。
現行型オデッセイは、現行アルファードの1900mm近い全高と比べると、まだまだ低い。全高を高くすれば、オデッセイに必要な「威厳」を手に入れられるのに、だ。全高が低いことは、クルマの運動性能にとっては、いいことだ。
しかし、ミニバンに走りの良さ(特にコーナリング)を求めるユーザーがどれほどいるのだろうか。自らのこだわりが首を絞め、クルマのシルエットを割り切れないことにつながっていないだろうか。
2代目から3代目へ進化したときに全高を100mmも下げてしまったエルグランド(全高1815mm)も、同じ匂いがする。ホンダも日産も「真似をしない」ことに、こだわっているように思う(気持ちはわかるのだが……)。
6代目となる新型オデッセイがあるのなら、北米で発売している海外版オデッセイぐらいの大迫力ボディで、フェイスチェンジをして登場してくれれば、非常に面白いことになるだろう。
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