2020年9月1日、ホンダは、上級ミニバン「オデッセイ」を今秋マイナーチェンジする、と発表した。
主要な変更点は、エクステリアデザインのほか、ジェスチャーによって操作ができるスライドドアなど、使い勝手の向上を果たすアイテムの採用などだ。
現行型オデッセイの登場は2013年11月と、そろそろ7年目を迎えるモデルで、現在のホンダのラインナップでは最も古いモデルとなる。
ライバルであるトヨタ アルファードが、6月は6835台、7月は8448台と、飛ぶように売れるなか、オデッセイは6月945台、7月925台と、苦戦を強いられている状況だ。
かつて「低床ミニバン」として一世を風靡した、老舗の名門ミニバンであるオデッセイ。今回のマイナーチェンジによって、反撃開始となるのであろうか。
文:吉川賢一、写真:ホンダ、トヨタ
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ビッグマイチェンでオデッセイは外観も大きく刷新
エクステリアデザインで大きく変わるのは、フロントのバンパー形状とフロントグリルだ。
従来のフロントフェイスに対して、グリルの高さが上がり、ロア側のディフューザー部分も大きく開いたような形状へと進化、フロントフェイス全体が「グッ」と持ち上がったように見える。同社のインサイトによく似た雰囲気だ。
ヘッドライトユニットの内部も、ステップワゴン・スパーダのような薄目タイプに変更となっている。これによって、厳つさが際立ち、「悪モノフェイス」へとなった。
使い勝手の面で進化したのが、ジェスチャーコントロール・パワースライドドアの採用だ。パワースライドドアにあるセンサーが光っているときにジェスチャーによる操作を行うと、車両に触れずにパワースライドドアの開閉が可能となる。
ホンダによると、この機能の採用は、日本国内では初とのことだ。

さらに、こちらはホンダ車初搭載となる、あらかじめ施錠操作をすることで、パワースライドドアやパワーテールゲートを閉めた後、自動で施錠する「予約ロック」も採用される。
9月1日時点で明らかになった情報はここまでだが、今秋の発売開始に向け、ホームページでは新型オデッセイに関する情報を、順次公開していくという。
サイドやリアのデザインにも、変更が加えられる可能性は充分にあるので、こちらも要注目だ。
「名門ミニバン」オデッセイの現状は?
現行である5代目モデルは、デビュー翌年に2014年は3万台以上を売り上げ、全盛期ほどの勢いはないものの、人気モデルとしての地位を奪還。
その後、いったんは落ち着くものの、2016年2月にハイブリッドモデルが登場すると、再び販売台数は回復。
2019年には、月間1000台規模まで落ち着いたが、2020年に入ってからも900台ペースを維持しており、多くはないものの、常に一定の需要があるクルマだ。
大きなヒットは望めないかもしれないが、今回のマイナーチェンジは充分な改良だと考えている。
かつて、存在したホンダの最上級ミニバン「エリシオン」がなき今、ホンダのミニバンのフラッグシップを担うクルマだけに、流行になっている「押し出しのある顔つき」にしたことは正解だ。
ただし、ホンダのフラッグシップミニバンとして、アルファード対抗とするならば、あと少し豪華絢爛さがあっても良いように感じる。
「ホンダのゴールドエンブレムをつけよ!」ということではないが、アルファードが支持される理由は、クルマのいたるところから、トヨタのフラッグシップミニバンとしての「威厳」が感じられるからではないだろうか。